スキー骨折の癒えた石原裕次郎が、久々に主演した石坂洋次郎原作の青春映画。裕次郎扮する売れっ子美容師の息子と、芦原いづみの女子大生が、自分たちをとりまく性の問題、出生の秘密などに対して、若いエネルギーをぶつけていく様を描く。
とはいえ1961年という時代に製作された作品ゆえ、さすがに今日のそれとの違いは否めない。はっきりしずきる滑舌で一気にまくしたてる台詞回しや、安保闘争の風景がリアルに登場する描写などは、やはり時代の産物の域を出ない。その時代性は石坂洋次郎の原作小説が反映されたものだろうが、一方で中平康監督の演出のセンスも、今日の視点で見た場合、どうても違和感を感じてしまう。半世紀近く前に作られた作品だから、と言えばそれまでだが。
アクション映画には見られない、裕次郎の快活な魅力が前面に出た作品と言えるだろう。芦川との軽快なやりとりは爽快で、芦川のコケティッシュな魅力が、重くなりがちなテーマを持つこの作品を救っている。(斉藤守彦)
芦川いずみ 少女時代の吉永さん
★★★★☆
世代が違うので裕次郎は映画館で見たことない。あまり興味のない人。日活映画も見たことない。「キューポラのある街」は中学生が映画館に連れていかれて強制的に?鑑賞させられた。授業の一環。最近ビデオやDVDでみると芦川いずみという女優が素敵でよく見る。浅丘るり子にスターの座を奪われたという気の毒な人。たぶん性格が優しい人なのだろう。演技がうまいとも思えないが「妹にしたい」女優さんといったところか。私より13歳年上である。「お姉さん」とは違和感がある。とにかく「アクの強さ」がまったくないとこがいい。早稲田の文学部によくいた東京出身の地味な美人タイプ。目立たない「地味な」美人女学生は吉永小百合さん。教えてもらうまで気がつかなかったほど。この映画では弱冠16歳の吉永さんも芦川いずみの妹役で出演。東京都出身で「目立つ」美人女学生というとAさんか。吉永さんより今でいう「キャラがたっていた」こちらのローカルテレビの女子アナで小川香織さんが芦川いずみによく似ている。小川さんは広島市出身。御茶ノ水の才媛で田舎にはもったいない。キャラがやや天然ボケ。広島は温暖なとこだからか。独身。
男は男、女は女
★★★★★
日活青春映画の最高傑作の1つ。主題歌に「女は女。。。」という歌詞がある。これがこの映画のバックボーンで、登場人物たちが様々な男女の生き方を示してくれる。石原裕次郎さん演じる男らしさと、芦川いずみさん演じる女らしさは、この映画が作られた当時の主張としての男らしさと女らしさなのでしょうが、時代を超えて魅力的です。ひるがえって現代は、男らしさと女らしさを正面切って主張できる時代ではなくなってしまったようで、さびしい。男女共同参画社会の運動は、この映画に出てくる安保反対運動に似ている。政治と文芸は常に対立するものなのか。
芦川いずみが最高
★★★★★
正直言って裕次郎はどうでもいい。相手役の芦川いずみが可愛い。妹役で吉永小百合も出演している。この頃の日活はとにかく女優がきれいだった。他の映画会社にも美人女優は大勢いたけれど、日活の女優はどこかあか抜けた感じで、知性と清潔感を漂わせていた。女の情念みたいなものには多少欠けるかもしれないけど、今日的なアイドルとも違う魅力を持っていた。裕次郎、圭一郎、旭といった傑出した大人気スターの相手を堂々と務めていたのだから。