たとえば日本人の才能について。日本は海外のものをすぐ自国に取り入れることから、しばしばコピーキャット(物真似屋)と揶揄されることがある。しかし、商品はその技術的な面での開発だけでなく、いかに売り込むかえを考え、それを実際に実践してはじめて商品として成立するのであって、そのすべての工程は同等に重要である。アングロサクソンは新しいものを生み出すことを得意とするかもしれないが、日本人は売り込みに長けている。またある発明に基づいて、それを改良することに長けている。これらは世界に誇れることである。
このようなことを世界にアピールすることが日本人は極めて苦手である。和を大事にする精神や謙虚さが美徳とされる道徳観は日本文化の重要な一部であり、それ自体は誇るべきことであるが、国際社会で存在感を示すためにはもっと戦略的になる必要があるのではないだろうか。本書が強調しているように、日本はもっと自己主張すべきである。
ここに登場する両者、ソニーの盛田と都知事の石原は正真正銘の「愛国者」だろう。しかし、二人の土俵や生きてきた世界の違いが、ここまでの「愛国者像」の相違をもたらすのかと思うと、人生と言うのは面白い!と改めて思い知らされる。
都知事として頑張っている石原氏は、やはりアメリカ好きなのだろう。アメリカと言う国、スタイルが大好きだからこそ日本と言う国のふがいなさが苛立つのだろう。 対して、盛田さんは夢見るMr.ソニーらしく、やはり前向きで全体に良かれという考え方。日本という国を、父親のような態度で叱り、母親のような心で愛している。
ニッポン人がニッポンという国の愛し方を忘れた今日、我々にとって最強の恋愛指南本となる一冊だろう。