耀州窯の良い参考書
★★★★★
暗いオリーブ色の、めまいのするような彫花の碗…
そんなイメージで敬遠していた耀州窯磁が、好きになりました。
きれいな若草色の青磁、それが盛期の耀州窯だったんですね。
カラー図版のページが多く、珍しいものも載っているため、ちょっとした図録としても楽しめます。
耀州窯の歴史や特徴などが、学術的な見地で網羅的に解説してあり、読み応えがあります。
一方で、解説書ということで、平易な言い回しのせいか、読みづらさはあまり感じません。
翻訳がちょっと固い感じもありますが、これも味と言うことで。
面白かったのは、現代の倣造品…、すなわちニセモノに関して、章を設けて解説している部分で、
「耀州窯の贋物多し」を、こんなところで納得し、ためになりました。
著者の耀州窯、ひいては中国陶磁への真摯な姿勢に、読後感がよかったです。