面白かったです。
★★★★★
著者の「海峡」幼年篇、「春雷」少年篇、そしてこの「岬へ」青春篇まで合わせて約1,800頁くらいありますが、とても読み応えがありました。
涙あり笑いありと読み進むほどにワクワクしてきます。
「岬へ」の後半くらいからは感慨深いものがあり、胸が熱くなり痛くもなり知らず知らずのうちに涙が溢れてしまいました。
伊集院氏の著書はまだまだ読み始めたばかりです。
まだあるたくさんの著書をこれから読み漁ってみたくなりました。
成長する主人公が頼もしくもある
★★★★☆
読んでいて、泣くことが多かったです。そんなに、凝った文体ではないのですが、中年になると涙もろくなるのでしょう。
後ろの方の、主人公が岬から日本海を観る場面は、主人公の感動が動的な感覚で、その風景描写から伝わってきます。こういうのを行間から立ち上る〜と言うのでしょう。
しかし、長い分量です。
三田誠広さんが、仰有ってた、文学として書いて面白い(含蓄の有る。書き手によって色々異なる)テーマ(違ってたらご容赦を…)として、家業を継ぐか、継がないで、親と決裂する、とかというテーマも含まれていて、それが主軸です。
その上に何層にも別のテーマが描かれています。
人間は、何の為に生きるのか…。身近な人の死をどう受け入れていくのか…。
そして、後半では、人種差別的な主観で主人公を観ていた(意識はしないが、心の片隅に有った)その意識を越えて、主人公に恋心を打ち明ける幼なじみの女性。そういう、登場人物がどういう人なのかを始めからは明かさない、段々、おいおい読者に訴えてくる書き方です。
主人公の青年は、硬派です。作者の伊集院さんの投影が含まれているとすれば、相当なハードボイルドな一面が有りますね。強い者にでも、果敢に立ち向かっていく喧嘩の場面などもあります。
人間は、身近な人を次々に失っていく定めなのだ、という、その定めから来る喪失感や哀しみに、どう折り合いをつけていくのか…、ということが、おそらくこの本の一番のテーマではないか、と思います。
人生に対する教訓が・・・
★★★★☆
人はどんなことがあっても逃げてはいけない。生きていかなければならない。英雄は人とのふれあいの中で、確実に何かをつかみ取り、新たな1歩を踏み出していく。決して忘れてはならないもの、それは英雄に対するさまざまな人の思いだ。その思いを無にすることなく歩んでほしい。人は人に支えられて生きているのだから。