写真は素晴らしい、文章は中途半端。
★★★☆☆
「彼はメンフィスで生まれたーアメリカン・ジャーニー」、このタイトルを見て本書に期待した。テネシーと言えばメンフィス(ナッシュビルもあるが)、メンフィスと言えば当然エルビス、その記述だがメンフィスに割いた文章が2ページ分とはガッカリ。そもそもメンフィスならまずはBeale Streetから始めるべきで、そして706 Union Ave.のSun Studioを書いて欲しかった。Elvisが最初に契約したレーベルであるし、Johnny Cash、Jerry Lee Lewis、その他多くが育ったスタジオである。ElvisのGracelandは書いてあるが本書の題名からすればバランスが取れない。これだけではなく、全体を通して文章がかなり表面的で深みがない。惜しい。特徴としては映画がお好きなようで縁の映画については随所に登場する。一方で小平尚典氏の写真はどれも唸りたくなるように美しい。1枚1枚に眼が点となる。空の青さが印象的だ。本書は写真集として見るのが良いのでは。因みに登場する場所は、Savannah、Menphis、Atlanta、Alabama、NY、SF、Yosemite、Boston、Route 66、LA、Fort Smith、Seattle、Yellowstone、Charleston、Hawaiiである。一つ面白い記述を見つけた。サンフランシスコのケーブルカーで、著者の安西水丸氏が「昔、吉祥寺の玩具店でブリキのケーブルカーを購入、それを基に多くのイラストを描いた。パウエル・エンド・メイ・ストリートという英文が書いてあった」と言う。これ「Powell & Mason St.」だから、「メイ」ではなく、「メイスン」なのだが・・・。間違い文字のイラストを買った人が多くいるということだ。
想像の旅行を楽しみました
★★★★★
「アメリカ」「旅行記」「写真」「安西水丸」が揃えば
読まないではいられない。軽快でいながら、時々鋭い文章と
彩度が高く、きれいなアメリカのクラシックな街並みの写真。
実際に出かけられない分、想像上の旅行を楽しめました。
アメリカン・ジャーニー
★★★★★
安西氏の文章と小平氏の写真に誘われるままに、頭の中でひと時の小旅行を楽しみました。
タイトルを見てメンフィスだけでまるごと一冊なのかと思っていましたが、アメリカ各地を旅したお話が書かれていて、
それぞれの土地が持つ空気感が伝わってきます。
本の中で紹介されているフォークアートは、どれも屈託のない素敵な絵で“絵を描く楽しさ”がにじみ出ています。
冒頭に書かれていた安西氏が「無性に絵を描きたい気分にそそられた。」というレモンの絵も見たいなあ・・・
と思っていたら、巻末に安西氏とレモンの絵の写真があってうれしくなり、私も久しぶりに絵が描きたくなりました。