神秘的戯曲
★★★★★
神秘的という言葉が非常に
印象的な作品。
2つの作品はともに妖怪が絡み
しかも1つ目に関しては人間の
穢れきった心の描写が出てくるという
耳の痛い話です。
しかも人間のエゴは
自分の任務を全うしないくせに
ほかのまっとうする人物に押し付け
なおかつよそ者ゆえに
よそ者の女までをいけにえに供そうとし…
しかしそんなエゴの塊の人間に
最後の最後に裁きが訪れます。
そう、妖怪たちの最強の仕打ちが…
至極当然の報いですね。
そして後者の作品には
恋も見られます。
そしてそれがまた妖艶なのです。
やや表現は古いものの
作品としては現代に
十分通用する作品です。
命の為に恋は捨てない
★★★★★
本書に収められている二作品は、どちらも人間と、それ以外のものが登場する幻想的な作品です。
泉鏡花という方の作品には初めて触れたのですが、この独特な作風にすっかり引き込まれてしまいました。
従来の、誰かの視点で物語が進むというような描かれ方はされておらず、芝居(戯曲)の台本のような書き方をされています。
作中の主な描写はすべて登場人物たちの口から語られていく、というスタイルなのですが、その台詞回しというか独特の言葉のつながりが非常に心地いいと感じました。
癖が強いので、人によって向き不向きが強く出てしまうかも知れませんが、一度読んでみる事をお勧めします。
お雪さんとお富さんの謎
★★★★★
女は強しw
妖怪は強しw
約定を違え理不尽で自己中な人間共を圧倒的な力でお仕置きする。
この爽快感。
命の為に恋は捨てない!!この潔さ!!
こんな恋をしてみたいものである。
さて夜叉が池のお雪さん、両親は龍神と言いながら晃の話では
日照りの生贄の乙女であったりする、この謎の存在。
記憶が自己修整されているのか?
天守物語のお富さんは遠く離れた夜叉が池のお雪さんと友達みたいだしw
不思議とリンクしている幻想戯曲。
謎が謎を呼びます。
玉三郎
★★★★★
『天守物語』『夜叉ヶ池』ともに坂東玉三郎が演じています。戯曲なのですから、
演じられねば話になりません。そして、舞台で観たのは『夜叉ヶ池』でした。
同時に『海神別荘』も演じられたのを二回観ましたが、泉鏡花の台詞の美しさを
稀代の女形が演ずることの素晴らしさよ。映画も先の二作はありますね。
でも、DVDになっていないのですよ。これは甚だ残念であるし、国の宝なのですから
ぜひ自宅でも観たいと思います。
ともあれ、『高野聖』『眉かくしの霊』という小説で味わう鏡花とは別の趣が楽しめて
鏡花のスケールの大きさ(という言葉はこの方には似合わないけれども)
を味わってください。で、DVD,ぜひお願いします。
分かりやく、読みやすいストーリー
★★★★☆
2作品ともに「人間世界」と「妖怪世界」の対立。選ばれた人間が最後は妖怪世界に行く。