ファリードの存在
★★★★★
「海の王冠」ではハイル、「ガラスの子馬」ではサウードにスポットが当てられていましたが、
今回のメインはファリード、彼のシェーラへの思いや母親の気持ちを知った時の悲しみは純水さ故だと
思えてならない。そして、ファリードが実の父親の呪いに蝕まれる過程が実にダーク。
子供向けにしておくには勿体無いぐらい…
みんなを助ける為に奮闘して、実の父親と思しき人物に出会えたミリアムもこの「闇色の竜」で
すごく輝いている様に思えました。
前作までの話の繋げ方と残り2巻までの伏線の張り方が実に巧み。
シェーラ、ファリード、ハイルの3人に加え、敵だったサウードとも和解して、ミリアムとも良い友達になれ、
ハッサンと相棒のアリからも協力を得られ、この作品のメインとなるキャラクターを揃えて、
魔法の杖を手に入れ、ファリードの父親と戦うまでの話の運びも実にスムーズで無駄がありません。
あとでシェーラもファリードも救われると分かっていても、シェーラを殺してしまったファリードが自分の父親を
殺して、去る場面はいつ読んでも切ない。