フジテレビ系ドラマ『眠れる森』主題歌としてヒットした<11>、滝田洋二郎監督映画『秘密』主題歌の<14>をはじめとする先行シングル5曲に加え、広末涼子に送った「とまどい」(1997年)のセルフカヴァー<5>や、ブルーな日でも、自分の気持ちしだいでステキな一日になるとポジティヴにメッセージする新曲<1>など、アルバムのタイトル(ボナペティ! = たっぷり召し上がれ!)どおりの盛りだくさんな内容。
山下達郎が作るハートウォーミングなポップサウンドと、表現力豊かな竹内まりやのヴォーカルのコラボレーションを、心ゆくまで堪能してほしい。(北崎みずほ)
いつまでも聴いていたくなるアルバム
★★★★☆
現代ポップスとは、対極に存在するアルバムで、パワープレイ、リズムワーク優先な楽曲は全く存在しません、竹内まりや氏の美しい歌声が日常的なことば、美しいことば、感情移入してしまうほどの哀しいことばを織り交ぜ、アルバムは展開していきます。
派手なところも、トリッキーなサウンドも無いため、1〜2回聴いても、このアルバムの良さは理解できないと思います(現に僕がそうでした)、雑誌を読みながらでも、家事をしながら聴いてもいいと思いますが、じっくりと楽曲と向き合って聴くとずっと前からファンでいたような錯覚をしてしまうほど好きになるかもしれません。
大型システムで大音量で再生すると、あらゆる音が洪水のようにあふれ、まりや氏の美しい歌声を隠してしまうのがとても残念です。
竹内まりやの世界の心地よさ
★★★★★
J-POPの進化と流行の移り変わりの中で、主婦特有の途中のブランクがあるにしてもデビューから30年ずっと多くのファンから支持され、愛され続けてきたことを考えますとこの竹内まりやというアーティストの魅力と力量が推し量れると思います。
この2001年発売の『ボナペティ!』の15曲もそんなカラフルでありながら透明な「まりや色」に染め上げられています。山下達郎のアレンジが、どの曲でも彼女の特徴を際立たせており、「婦唱夫随」ともいうべき素敵な共同作業が繰り広げられています。挿入されるコーラス・ワークの切れ味は抜群です。
「Bon Appetit! (ボナペティ! )」とは、「たっぷり召し上がれ!」という意味だそうですが、どの曲もとてもよい水準で確かに堪能しました。リーフレットのアンティークな小物と調度品の中で、彼女の落ち着いた笑顔がマッチしてステキでした。
それにしてもほとんどの曲が何らかのテレビドラマの主題歌であったり、CMソングであったりするわけで、その意味から言っても多くの人が耳にした曲ばかりですし、愛された歌の集合です。
「毎日がスペシャル」でのアコースティックで軽快なサウンドは、万人に受け入れられますし、その前向きで明るい歌詞から立つ上がる爽やかさが感じられ、リスナーの心の中に入り込みさっと駆け抜けるような切れ味を含んでいます。このポップさが魅力ですね。心地よさにつながりますから。
「カムフラージュ」で感じられるような切なさもまたファンにはたまりません。1960年頃のオールディーズの香りを持ちながら、心に沁みわたるような素敵な言葉が織りなすラヴ・ソングです。名曲ですね、名バラードです、本当に。このような曲を紡ぐからこそ、竹内まりやが万人に愛されるのだと思います。
まさにおなかいっぱいです
★★☆☆☆
完璧で隙のない音楽にウンザリしてきます。
○○○みたいな音楽よりはましなんだけど丁寧で真面目すぎてつまんないのね。
詩も説明たっぷりでわかりやすい作文だし
タイアップの数だけでおなかいっぱいです。
竹内まりやの夜仕様昼仕様、ハッピーな曲、切ない曲満載。
★★★★★
この気品あり温かく明るい美声が相対的に今日も保たれていることにまず驚きだし、曲への安心感も変わらずあることの凄さを思う。序曲の「毎日がスペシャル」のような新鮮さを内に秘めていられるからだろうか。だからこちらも、そのフレッシュな声を耳にする度に自然と原点へ戻れる。「心はいつでも17才」。あの頃の夢見る気持ちと今日までの経験を活かせば、これからこそ良い時間を送れると思えるような詞だ。一方で昔の「駅」のように悲哀の曲想を持つ「ノスタルジア」は想い出を黄昏の中で探しに行くような大人の曲。過ぎ去った恋愛をいとおしく振り返る瞬間というのは齢を重ねなければ出会えないものだ。
前半は穏やかな昼下がりや緩やかなドライヴに合いそうな曲が多く、「Tell me,tell me」は軽くランデブしてゆくギターのアルペジオがとても心地よい。「今夜はHearty Party」からはナイトモードの曲が増え、この音源ではリズムの加速感が増している。詞の“dance now” というようにワクワクする気持ちを強く引出す。キムタクの面白い飛び道具も備わっていた。「カムフラージュ」では山下達郎のppでのコーラスからの導入がやはりいい。“目と目があって”という映像的にドラマチックなサビも印象的。続き「Winter Lovers」へ流れてゆくロマンチックな展開そしてアットホームな「すてきなホリデイ」は当に年末の冬使用だ。
パイプオルガンで始まる「天使のため息」は彼女らしい、美しくて切ない代表曲に。スローモーションで過ぎ去ってゆく詞の展開も聴き所リズミカルなバラードがそうさせるのかも。2分24秒の「A cup of tea」はその名の通りティータイムをうたう。大人の時間の過ごし方を歌う前半の曲とも通じ合うものがあった。
はずれのない曲ばかり
★★★★★
竹内まりやさんの曲を聴いて思うのは、シングル曲・アルバム曲に関わらず、絶対にハズレがないという事です。アルバムのみの曲であっても、その殆どが何らかのタイアップをされているからかもしれません。だから、オリジナルアルバムなのにベストアルバムを聴いているかのような満足感を味わえます。これからもマイペースで、リスナーに良い曲を聴かせてほしいです。