なにしろ、きらびやかなエレクトロAORポップからいきなりのドアコースティック、ニューエイジ路線は衝撃的で、当時の耳には「何でぇこの子守歌みてぇなやつぁ」つー違和感さえあった。歌詞のほうも「百年の孤独」「ねぇ、こんなこと考えたことある」を筆頭にフツウではない。思えば、ここからがepoにしかできない音楽の誕生であり、本当にスゴクなっていった発端だったのである。さらにいわせてもらうと、POPとARTとキッチリ折り合いつけていた、という点で、EPOのニューエイジ作品の中でも最高の部類に入る、すばらぴーアルバムです。
ワタクシが一番好きなのはラストの「見知らぬ手と手」。ここからプライウエートライヴや草の根的音楽活動へ移行していくEPOの意気込みが感じられつつ、人生の行方を見失いがちな20台後半の自分にスゴクフィットしていたのである。
ただ座って目を閉じて聴いているだけで、思い出せないほど昔に見た懐かしい風景、ちょっとだけ恋に疲れた女性の小さな部屋、まだ行ったことのない異国、果ては無限の宇宙にまで、聴き手の心は時間と距離の制約を超えて自由に飛び回ります。
歌と演奏だけでこれほどまでに鮮烈にビジュアルを紡ぐことができる才能に、ただただ圧倒されたことを覚えています。まったく隙のないアルバムですが、あえて一曲選ぶなら(11)。ちょっと切ない歌詞ながらも、軽やかなメロディーと散りばめられた遊び心がほんのり温かです。
何だか泣ける。ヒットした「百年の孤独」を聞いて私は何度も泣いた。何で涙が出るのか分らなかったが。EPOという個が確立し、そしてそれが花咲いた瞬間のその感動が詰まっているように思うのは私がこのアルパムのファンだからだろうか?