まず、他のレビュワーのレビューをみていると、なぎら健壱がフォーク歌手だったのか・・・?なんて書かれると、同世代としては、不思議な感慨にとらわれる。
日本で「フォーク」という音楽ジャンルを語る場合、例えばアメリカのPPMの「フォークソング」とは異なるし、フォークルの「帰ってきた酔っ払い」とも異なる。S&Gの「フォークロック」とも異なる。
吉田拓郎やかぐや姫とも異なる。
ものすごく特殊な音楽分野であったと思う。
この本は、その点を、実に的確に表現している。
ただ、唯一欠点を指摘させてもらえば、例えば、同世代人としては、「常識」の「中津川フォークジャンボリー」で何があったかなんていうのは、昭和40年代に少なくとも中学生になっていなければ、理解不能な異次元のことだと思う。
それはそれとして、おそらく若い世代には、半分は理解不能な話かもしれないけど、この本に出てくるアーティストに触れて、今の日本の音楽シーンの背景にマイナーであるけれども、確固した日本独特の「フォーク」という音楽ジャンルがあったということをお分かりいただけると思う。そこから、100人に一人でもCDを買ってくれるのであれば、著者は、今やお笑いタレントみたいにあつかわれているようだけれど、本望であろう。
もう一度、高田渡に合掌。