今となっては、誰もが知る存在であり、またこの二人が組めば最強ともいえる、宮崎駿監督と久石譲さんのお二人ですが、当時は(知る人は知っているにしても)無名に近い存在であったはず。もちろん、無名であり若さがあればこそ、何にでも挑戦することができたのかもしれませんが、それでも、これほどまでに素晴らしい映像と音楽を作り上げてしまうのだから、すごいとしかいいようがありません。
「1. 風の伝説」は、サウンドトラックに収録されているオープニングの初期のヴァージョン。完成版と聴き比べると今一つの盛り上がりですが、これもこれで静かに聴けるところがいいと思っています。「2. はるかな地へ…」「10. 遠い日々」は、同じくサウンドトラック収録のエンディングの、メロディ(ナウシカのテーマ)をさまざまにアレンジしたもの。非常に明るい仕上がりになっていて、原作や映画版の重く深いイメージとはまた違ったナウシカを感じることができます。
「3. メーヴェ」と「9. 谷への道」は、サウンドトラックには収録されなかった秀作。おそらくは、使う場面が残念ながらなかったためだと思いますが、特に「9. 谷への道」は、穏やかな曲調が温かく、シンフォニー編に収録されているヴァージョンと合わせてお勧めです。ナウシカのテーマを久石さんご自身によるピアノ・ソロで仕上げた「11. 鳥の人」も、小品ながら、このアルバムを入手する理由になるだけの逸品です。