色々笑えます。
★★★★★
主人公の中学生の路彦は出口の無いいじめに遭っていた。親、学校に訴えても報復が待っているだけ。そんな時、ヤクザの山田に出会う。ヒーローよろしく助けてくれた訳ではないが、戦うことを教えてくれた。友人からは得られなかった情もくれた。そこからはもう卵から孵ったヒナのごとく山田に傾斜。優等生の僕ちゃん返上で、山田の為ならウソもつく。一途で躊躇が無い。
一方、山田は肉親の情に恵まれず、ヤクザの世界の絆に家族の絆を見出し、その世界に身を置いている寂しい少年。
裕福な家庭で愛情たっぷりに育てられた路彦への情が深まるほど、逃げ腰になる。路彦の情熱に惹きこまれた振りで恋人関係になるのだが。SEXの最後のふんぎりがつかない。自分の世界に路彦を引き込む勇気が山田にはなかった。自分の愛情に曇りが無い路彦は山田の弱さをなじる。庇護していた筈の路彦の強さに逆ギレする山田。けれど家族とも思っていたヤクザの世界から裏切られ、命を狙われたとき、巻き込むまいとあれだけ大切に思っていた路彦に助けを求めてしまう。もちろん路彦は迷うことなく山田を助け、山田が出来ないなら自分がと、今まで抱かれる側であったにもかかわらず、躊躇無く山田を抱いて二人の絆を確かなものに。山田が真に望んでいることを、路彦の強さが実現させる。
この辺りの二人の変遷、ありがちなようで、度肝を抜かれる展開です。木原作品の凄いところは、細部が、とにかく夢を見させない物凄く斜め下。とことんリアルに描かれていて、登場人物に容赦がない。だから、ありがちな展開を、そうじゃなくしてしまう凄さがある。この後二人は、紆余曲折を経て結ばれて終り…。なんてことには、もちろんならない木原作品。今作品も最後まで木原節炸裂です。期待を裏切りません。
私的見所は、山田を飛び越え大人になったかに見える路彦が、山田に向ける感情だけは中学生の時のままで。今でも思考がとても楽しいことになっています。読んでください。微笑ましいです。最後まで。正直笑っちゃいました。強いから賢いわけでもなく、弱いからダメなわけでもない。このごちゃまぜ加減がとてもいい。カオスってる人間をよくぞここまで書けるといつも感嘆。
私の書評なんかとはぜんぜん違う、読者ごとの感性に出会えますので、ぜひぜひ読んでください!最近木原作品に嵌ったので5つ★だらけ。なんか担当みたいだな私。
ラストに裏切りありでした
★★★★☆
主人公は中2でいじめられっこだったのですが、たまたま、同級生の女子の自殺を
みてしまいます
そのことを聞きまわっていたチンピラの4歳上の男に結果的に助けられます・・・
ず゛っと勉強ばかりだった主人公はチンピラにいけない遊びなど
色々、教えられるにつれ・・・同じ時間を過ごし、好意を寄せ始めます
上下巻で5年程度経過していきますが、ヤクザ特有の暴力などでてきますので
少し痛い感じがします
元いじめられっ子は大好きなチンピラに「貴方の物にしてほしいと」ずっと誘惑するのですが・・・
受け入れられず・・・・最後まではいかない関係が・・・ずっと続き、チンピラは東京にでて、ヤクザになります
下巻からはチンピラだった男はヤクザにはなるものの、結局は成長できず
いじめられっ子だった、主人公はやがて、力を持つようになり・・・
ヤクザになった彼を助けることができるようになります
その若い時期の心と体の成長、葛藤がみられ・・・
ずっと、お互いに好きだという気持ち、大切だという気持ちがとてもよく伝わってきます
以下ネタバレ・・・・読みたくない人は回避してください
いじめられっ子は初め受けだとおもっていたし、受け扱いだったのに・・・
大学生になり「貴方の物にしてほしい」という誘いに乗らないヤクザを逆に「あなたを僕の物にする」といって組み敷いてしまいます
成長とともに立場逆転でしたが・・・・自然な流れだったように思います
立場逆転は良かったです!!!
元チンピラも一皮むけば、かわいいヘタレで、元といじめけれっ子の主人公は、元チンピラをとっても甘やかしていました♪
いじめられっ子だった主人公は甘い攻めに成長し・・・・・・下剋上萌えでした♪
やっぱすげぇわ〜
★★★★☆
相変わらずやってくれますよ。あぁ、先に言っておきます。木原さんの作品を読んで一度でも「これはちょっと・・・」と思われた方にはお勧めしません。この方の作品はよく評価が分かれますが、作風が分かっているのですから苦手な人は最初から手を出さない方が良いのでは?・・・っと思うのは私だけですか?
上巻は、中学生の路彦とチンピラの信二と出会いから5年間までのお話です。中学生のいじめ・暴行、やくざの制裁・暴力、読んでいて決して気持ち良くなる内容ではありません。が、これを読ませてくれるのが木原さんだと思います。280ページもう止まらない。
もちろんそれだけじゃなく、ひ弱な優等生路彦と小さな組のやくざ信二が惹かれあっていく様が丁寧に描かれていますよ。上巻では路彦の方が積極的に信二に絡んでいきます。想いも一途です。信二にとって路彦はまだ無二の存在には至っていません。
高校・大学と路彦の友人になった森君の存在が結構大きいです。出番は至って少ないのですが、下巻でも彼の存在に救われる部分が何か所かあります。同時に信二の舎弟になった良太も必要不可欠な存在です。彼ら二人が、こう〜なんて言うかきりきりする感情をふわっと和らげてくれます。
この上巻を読んだら、下巻を読まずにはいられません。但し、下巻の方がしんどいと思います。覚悟して手に取って下さい。
でも〜やっぱ読ませてくれますよ。当然下巻も・・・
月に吼える
★★★☆☆
痛恨の一撃です。下巻を買い忘れた。続きが気になって死にそう。
絶対に上下巻そろいで購入されることをお薦めします…
今回も、まったくもって木原氏らしい作品。
たまに思う。
木原氏が描きたいのは、救済ではなく、それが発生するどん底じゃなかろうかと。
中学生のいぢめ、自殺、暴行、そして死。いったんは再会という救済がもたらされても、物語は続いていく。
おそらくは更なる悲劇へと。トンネルはまだ抜けていない。
キーパーソンっぽい経済ヤクザの惣一さん登場。
薄氷の上のラブラブの日々。
ここで終わられて、下巻を読まずにいられる人がいたら会ってみたい。