「入門書」ではない
★★★☆☆
本書は(佐藤優氏が高く評価するように)今後、本書を抜きにしてはバルトを語れないような優れたバルト論ではあるのだろうが、いわゆる入門書ではない。
「学」には、日常生活の単なる延長では理解しきれない概念や術語とその体系がある。入門書の役割は、両者に横たわる溝に橋を架けることであるが、本書はそういう機能は持っていない。加藤周一や宮田光雄氏のバルトに関する評論などを読んでバルトに関心を持ったような日本の読者が、「入門」というタイトルに惹かれて本書を読むと、生硬で凝縮した内容と文面に面食らう。(訳書の)タイトルと内容のギャップが大きいので★3とした。神学生には★5なのかもしれない。