スロー・ナンバー中心というのも関係していると思うけど、たしかに、これまで以上にじっくりと取り組んでいるなと実感させる丁寧な仕上がりだ。それを象徴するのが山本剛のピアノだけをバックに歌っている「ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ」。こういう落ち着きというのは30代ならではの歌声に違いない。五十嵐一生と大坂昌彦の曲に詞をつけて歌い、作曲者をゲストに迎えているのも話題。オリジナルは4曲。その中の1曲「ロバータ」はTOKUが初めて自身で作詞も手がけた完全オリジナルだ。日野皓正のアレンジを借用した「スターダスト」も素晴らしい。というわけで、ここには一皮むけたTOKUがいる。(市川正二)
彼を知ったのは、某国営放送の、「青春のポップス」という番組だった。(ちなみに現在はやっていない)
若そうに見えるのに、声だけは、深く、心に沁み入るような、落ち着いた感じで、とても印象ぶかかった。
その後、アルバムをすべて買い、2~3ヵ月に一度はライブにいくほどのファンになってしまった。
彼の声には、一種の魔力がひそむ。
心をとらえて離さない。
前回のアルバムはインストが半分入っていたが、今回はヴォ-カルのみなので、私のようなファンには大変嬉しい一枚である。
#01 HELLO,IT'S ME
しっとりした始まりから一転、軽快なテンポに変わっていく
ところがいい。
#04 THAT GIRL
スティービー・ワンダーとはまたひとあじ違う、切なさのつ
のる一曲。
#08 WHERE OR WHEN
ライブで何度も聴いて、とても大好きな歌。涙がこぼれそう
になるくらい。
#11 STARDUST
ライブのときはマイクなしで歌ってくれたりする。
圧倒的な歌唱力。
今回のCDはハイブリッドディスクとかで、今迄とは違う。
ライブハウスのような臨場感が増したように思う。
彼の魔力にとりつかれたひと、とりつかれてみたいひとには、絶対にお勧めである。
それにしても、jazz musicianって、すごいと思う。
アルバムとは違うアレンジでしか、ライブでは聴いたことがない。
その場で音を紡ぎだすのだ。
アルバムを聴き込む程、ライブでその違いがわかるので、面白い。
次回作にもまた期待がつのる...のは早すぎかな。