『Time Out of Mind』がスタートすると、ボブ・ディランは1964年の「One Too Many Mornings」と同じように淀んだ日の風景の中に姿を現す。だが、今回のディランには、街角や遠くで吠える犬をロマンティックに描き出すような余裕はない。どんなに愛に、そして自分自身に疲れているか、ひたすらうめき声で訴えるばかりだ。うめくことで先を続ける力が出てくるんだと言いつつ、ディランは歌い続ける。そのようにしてつづられていく11曲は、ディランがもっとも正直に自分の気持ちを吐露したもので、雄弁な音楽性を持っている。90年代初頭の傑作アルバム『Good As I Been to You and World Gone Wrong』で垣間見せた、再構成されたボトル・ブルースを受け継ぐのが本作なのだ。ダニエル・ラノワの手になるプロダクションとグルーヴは、ダーティーな質感をかもし出すべく入念に計算されており、少なくとも『Blood on the Tracks』以降のディランのアルバムの中では最高の仕上がりといえるだろう。どれほどディランがひどい気分だと訴えようとも、これは強い、本当に強い男のつくった音楽である。(Rickey Wright, Amazon.co.uk)
トータルなサウンドで勝負した作品。
★★★★★
本作を語るとき、ダニエル・ラノワのプルデュースであることが重要だ。オー・マーシーと比べると全体に暗めの印象であることは否めないが、トータルな音の響きが何とも言えず良い。霧の中からディランの声やバンドの音が聞こえてくるような感じだ。特にM7は楽曲自体の良さといい、エコー処理といい、90年代ディラン・スタジオ録音のオリジナル曲の中では最高の1曲。M3、5、9も優れた曲だと思う。M1はラノワのプロデュースでなかったならば、随分印象が違ってしまっただろう。
本作はまた、ネヴァー・エンディング・ツァー・バンドと共に音作りをするというスタイルを確立し、オー・マーシー以後の傑作連発の流れを決定づけたという点でも重要だ。
ラストの16分を超すハイランズは好き嫌いが分かれると思う。私は長いとは感じないのだが、如何だろうか。
もう曲は作らない
★★★★★
ディランは尊敬してるミュージシャンの一人だ。 フリーホイーリンから俺のディラン人生が始まった。もう新曲は作らないと言ってたディランが97年にリリースしたアルバム。 結果、98年のグラミー賞は3部門で受賞。 時代的に60年代とは内容は違うが常に時代と向き合い、吐き出していく。 やはり尊敬せざるをえないアーティストの1人である事に違いない。
深淵なる別世界
★★★★★
本アルバムの中の曲の主人公達は「年月とともに忍び寄る物」と「離れていく物」との間で揺れ動いている人達です。
ディランの鋭いボーカルとディラン自信が奏でるギター、ピアノ、ハーモニカを含む腕利きミュージシャン達が創り上げたサウンドは深く絡み合って語りべの感情を適切に表現する事に成功し、それぞれの曲を芸術的な域にまで押し上げています。
アルバムの空気感はまるでアメリカ開拓時代の闇からネオン都市の路地裏の闇。またトラッド、戦前ジャズ、チェスレコード、90年代のオルタナティブまでをも浮かび上がらせていてまさに時空を越えた傑作です。
静かな夏の夜にこのアルバムを聴けばまるで質の良いロールプレイングゲームをプレイするように別世界を歩く事ができるでしょう。
♪
★★★★☆
歌詞とタブ譜はdylanchordsでどうぞ⇒ http://dylanchords.info/38_toom/index.htm
プロモ・ビデオ⇒ http://www.bobdylan.com/#/music/time-out-mind-1
ヾ(〃^∇^)ノ試聴⇒ http://www.megaupload.com/?d=3B3H7DM1
Love Sick
Zepp Osaka, 13Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=QtIONfab8HI
Bob Dylan - keys/ Tony Garnier - b/ George Recile - ds/ Charlie Sexton - lead/ Donnie Herron - electric mandolin/ Stu Kimball - rhythm
Not Dark Yet:
Zepp Osaka, 13Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=Ff_gaWbdAv4
Zepp Tokyo, 21Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=wIQwvYTqsb4
Bob Dylan - harp/ Tony Garnier - b/ George Recile - ds/ Charlie Sexton - lead/ Donnie Herron - lap steel/ Stu Kimball - rhythm
Cold Irons Bound
Zepp Osaka, 11Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=eEfalxLjOqE
Zepp Osaka, 15Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=VaLEX6DcyLE
Zepp Tokyo, 21Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=QkwFH2Lkb4o
Zepp Tokyo, 24Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=EPcGOGAE7Xs
Bob Dylan - harp/ Tony Garnier - b/ George Recile - ds/ Charlie Sexton - lead/ Donnie Herron - lap steel/ Stu Kimball - rhythm
Can't Wait
Zepp Osaka, 11Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=sAGvl81Dlpk
Zepp Tokyo, 24Mar10⇒ http://www.youtube.com/watch?v=w-blkhpNJ_M
Bob Dylan - (keys only in Tokyo),harp/ Tony Garnier - b/ George Recile - ds/ Charlie Sexton - lead/ Donnie Herron - electric mandolin/ Stu Kimball - rhythm
ラヴ&ピース
★★★★★
多くのディランファンを驚かせた一曲ラブシック の出だし
不穏なキーボードからイコライジングされたしゃがれたディランの ハムウォキン〜♪
から鳥肌がたってHMVの試聴コーナーで固まった経験がある
ダニエルラノワ二度目のプロデュース
どんなオルタナティブより強烈!
賛否両論数あれどリアルタイムでディランに裏切られたのは初
しかも聴き込む程に発見多し
80年代にブルースは存在しなかったと断言しよう(当時ブルースの情報を知る事は凄く困難だった)ゆえにディランの存在意義も無かったのだろう
90年代は浮わついたポップス文化から急速にロックの時代に突入する
ディラン回帰
トラディショナルに根ずいた新しいMusic
軽快なダートロードブルース♪
夜と朝の間に溢れだす音楽のような スタヲディングインザドア♪ノットダークイェット♪
トムウェイツ調ミリオンミイルズ♪キャントウェイト♪このヤクザのような凄み
ライブで白熱するコールドイロンバウンド♪
爺になっても情けないラブバラード トライントゥゲットヘブン♪メイクユーフィールマイラブ♪
16分に及ぶハイランズ
ラノワの反響する音空間で此処ではない何処かに連れ去られる物凄い名盤です
ロックの新しい異次元を体感出来ます