これは全然普通の文学じゃありません、「あとがき」にもあるように、シュルレアリスムと実存主義の板ばさみで疲れ果てていた当時のフランスの読書会に鶴の一声のような革命をもたらした一冊なのだそうで、なるほど確かにこれは難解な物への果てしない皮肉を感じさせます。それでいて、素人くささや、質の低さを感じさせずに、やっぱり文学として高次元で成立していることは素人目にも一見。そこがスゴイと思いました。
まるでアンディ・ウォーホルがどこまで難解になれるかを競っていた美術界に漫画みたいなキャンメル缶の絵を持ち込んだ時のようなスゴ味を感じさせます。こりゃ映画のほうも見ないわけにはいきません(監督は「死刑台のエレベーター」で有名なルイ・マン氏だそうです)。
中公文庫、生田耕作、アンタらエライで。