きものへのハードルが下がるような
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波乱万丈の人生もさることながら、ものすごく派手なセレブ生活を送っていた宇野先生。
常識にとらわれない、きものへの斬新な考え方がステキです。
もっと自由にセクシーに着物を着て欲しい、と思われていたのでしょう。
正統派のきもののコトを知りたい人には向かないかも。
昨今のアンティーク着物ブームやギャル向けの浴衣など、どう思われていたかお聞きしてみたかったものです。
お洒落は生きている証し
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「宇野千代 きもの手帖」のなかに、『お洒落は生きている証し』というのがある。
・・・お洒落は見てくれだけをよくすることから始まって、何か、これまでになかったものを考え出す、原動力になることがある、と思うのです。
・・・「お洒落をしよう」という意欲が、そのまま、生きているということの証拠だからです。
とファッションに無関心でいることを自慢するフェミな人々をばっさり斬ってしまいます。
宇野千代のデザインした着物の写真を見る。おはしょり無しのボディコンシャス、二寸にも満たない細帯。 それはディオール、カルダンの、あの時代ならではのぶっ飛んだ過去の遺物に感じられるかもしれない。
けれど「どうやったら着物をカッコよく着られるか」、いつだってそれが問題なのです。
江戸、明治、大正、昭和、平成・・・モノの無い時代でも、海外文化に取ってかわられようとする時代でも日本のお洒落心は途絶えることなく、着物文化はたくさんの人の手垢を付けられて変化してきたんやなぁ、とこの本を読んで感心してしまいました。
洋服ばっかりの戦後において、じゃあ着物も洋服感覚で、とデザインされたさまざまな宇野千代の着物たち。あの襦袢のように細かい柄の小紋や、無地感覚の洒落着、昼間に着られるようなデザイン浴衣など、今では安価な和装アイテムのメインストリームになっている。
いつの時代でも「女と着物は生きている」と思える一冊。
先見の明
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50年前に書かれたものとは思えないくらい、新鮮です。
現代の着物趣味のことを早くもキャッチしていて、半襟で
おしゃれを楽しむようになるだろうとか、地味な着物に
帯や帯揚げで個性を発揮するであろうなど、今、生きていて
それを見ているかのようなエッセイです。
さすがにご自分でも『きものの店』をやっていらっしゃった
だけのことはあります。
しかも写真はモノクロですが、ご自身の着物姿もすごく粋な
感じで、とても昔の方とは思えません。
着物好きには必読の一冊です。