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茶の本 (岩波文庫)

価格: ¥441
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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美とは自然との調和 ★★★★☆
茶道と禅を結び付けて日本人の美意識に迫る良書。日本と西洋との美の捉え方を比較して、西洋に決して劣らない自然と調和した美を追求する日本人の美意識について言及されている。

武士道が儒教的で厳格な自己規律であり、一部の階級(侍)に適用されたのに対し、茶道は禅で追及される精神世界を実生活に反映させ、すべての日本人に浸透している。
それは自然を愛でる歴史的、伝統的な価値観が日本人に共有されているからであろう。

しかし、著者は維新成立後の急激な西洋文明の模倣に警鐘を鳴らす。欧州の列強に伍するための文明輸入はある程度いたしかたないとしても、
それまであった良き文化、自然観が西洋風に取って代わられ、置き去りにされてしまうことに悲哀を示す。

現在、物質的繁栄を遂げた日本人に自己と自然を見つめ直さしめ、改めて真の心の平安について考えさせられる。
青年へ推薦する書の一つ ★★★★★
この時期の代表的な英文書『代表的日本人』『武士道』『茶の本』の中で個人的に最も好んでいるのが本書。日本文化の“非論理さ”日本人の“穏やかさ”という良い点を味わい深く表現している。利休はこの“良さ”を持つ代表者か?(秀吉は真逆の“良さ”を持つ代表者か?)。本書を読むと川端康成のノーベル文学賞受賞スピーチ『美しい日本の私』を読みたくなるのは私だけだろうか。
岡倉天心はすごいですね。 ★★★★★
利休のわびさび的な表現が美しい。もともと放送大学で英文講義をたまたま聞いたときにその一文が気になって購入したもの。武士道のような確固とした信念は感じられないものの、外国ぎらいを全面に押し出している感じは面白いです。
 
 枯葉を散らすということが単にきれいに箒で掃くことよりも何か余韻を残すということが、日本の美を表しているようです。
独特の感受性の結び目の一つ ★★★★★
 「武士道」、「代表的日本人」ときて、この文庫に手が伸びた。本文は90ページ弱だが、内容は深い。

 巻頭のはしがき等が、この書物の辿った紆余曲折を教えてくれる。英語版は1906年に発行されたものの、日本語版が出されたのは1929年、その後も改訳がなされ、題名の訳についても逡巡したことが述べられていて、そんな風にしてもいまだに出版されている様子自体に歴史を感じる。

 全体を全七章で構成し、序論、茶の歴史の沿革、茶道の振る舞いの原理となった道教と禅についての考察、茶室・芸術観賞・花・茶道の宗匠それぞれについての随想といった内容になっている。

 茶の歴史についてははじめて知ったし、道教の影響が禅に受け継がれ、そこに含まれた不立文字、曰く言い難い事を言いながら言えず・言わず、言えず・言わずながら言うといった感受性が芸術においても受け入れられ、未完の事物に運動を見、自らが内的に完成させるという心得と空間的美学を磨いてきた茶人の事跡を、著者は言外に含みを持たせて語っていく。

 確かに、新渡戸稲造がものした「武士道」と不思議に対応している著作に思えてくるし、渡辺京二氏の「逝きし世の面影」で描出されている市井の人々の日々の過ごし方の一端が、ここでの身のこなし方と重なって見えてくる。

 日本語で言い表され、過去の事跡から現在へと続き、多方面に広がる感受性の結び目の一つとして読める一冊。
日本人の美意識の源泉を捉えた名著 ★★★★☆
新渡戸稲造の『武士道』が日本人の倫理意識の源泉の一を描いたものとすれば、本書は日本人の美意識の源泉の一を描いたものと云える。その意味で、両書は相揃って「半双の二曲物屏風」を構成する近代日本が生んだ重要著作であると考える。

本書を一読して、(1)茶道が建築や庭園、工芸、陶器、生花など今日に伝わる日本文化の母胎であったこと(91〜93頁)、(2)清潔なること必ずしも美ならざること(60〜61頁)、(3)美は細部に宿ること(重複の回避につき64〜65頁、花と掛け軸や彫刻との「協奏曲」につき88〜89頁)、(4)茶道における崇高な目的は自らを芸術そのもの(芸術的人格の表現)にまで高めようとする点に存すること(91頁))などの気づきを得た。

薄いからといって簡単に読める本ではないが(特に道教などの知識が必要であることを痛感)、味読すれば得るところの多い名著だと思う。末尾で千利休の最期の姿を描いた挿話も心に残る。「今日は工業主義のために真に風流を楽しむことは世界至るところますます困難になって行く。われわれは今までよりもいっそう茶室を必要とするのではなかろうか」(66頁)。