しかし,本書を単体で読むと,残念ながらよい「テキスト」とは言えないと思います。いろいろな人のいろいろな研究を紹介していますが,文章・構成があまり論理的でなく,整理不足のため非常に読みにくく,さらに,必要な情報が不足しているため,趣旨が分からない(あるいは,極度に分かりにくい)部分がかなり多くありました。
(ただし,宮本先生が福祉国家について執筆されている7,8,9章は別で,大変論理的でよく整理されたテキストだと思います。以下の記述も,これら3つの章には当てはまりません。)
結局,本書の内容を理解するためには,本書に書いてあることをもともと相当程度知っている必要があると思います。そういう方が頭の整理に使う,という用途はあるのかもしれません。
あるいは,これから(ほとんどは英語の)原著論文・書籍を読んでいこうとする方が,どれを読もうか選択する時のカタログとして利用するなら,役に立つでしょう。
しかし,本書を単体で読むと,残念ながらよい「テキスト」とは言えないと思います。いろいろな人のいろいろな研究を紹介していますが,文章・構成があまり論理的でなく,整理不足のため非常に読みにくく,さらに,必要な情報が不足しているため,趣旨が分からない(あるいは,極度に分かりにくい)部分がかなり多くありました。
結局,本書の内容を理解するためには,本書に書いてあることをもともと相当程度知っている必要があると思います。そういう方が頭の整理に使う,という用途はあるのかもしれません。
あるいは,これから(ほとんどは英語の)原著論文・書籍を読んでいこうとする方が,どれを読もうか選択する時のカタログとして利用するなら,役に立つでしょう。
具体的には、
戦後和解:ラギー、フォーディズムから階級交差連合まで
経済実績:タフト、ヒッブズからソスキス、アイヴァーセン、フランツェーゼまで、
福祉国家:『三つの世界』、フェミニストからの批判、オランダ・モデル、ワークフェア、生産レジーム、
拒否権プレイヤ:イマーガットからツェベリスまで、
民主主義と経済発展:リプセットからプシェヴォスキたちまで、
などが丁寧に紹介されています。
政治学および関連分野――とりわけ経済学!――の教員・院生・院受験者にとっては必携の要覧だと思います。そして、意欲のある学部生にもおすすめ。