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ポジティブ病の国、アメリカ

価格: ¥1,890
カテゴリ: ハードカバー
ブランド: 河出書房新社
Amazon.co.jpで確認
間違いなく、難解な専門書です。 ★★☆☆☆
ポジティブシンキングを肯定し実行している人には興味
深い本ですが・・・内容は難しいです。
 250Pにもおよび、何の説明もなく一般人は知らないような
単語がどんどん登場し、アメリカの政治・経済・歴史に広く
通じていなければ内容を理解することは難しい感じました。
 主張の例や根拠として持ち出した事件や人物の説明が長すぎです。
それまで読んでいた内容が忘れるほどです。
内容的には★4から★5つ ★★★☆☆
これは面白い本だった。内容的には★4〜★5に値すると思う。

昨今、ビジネス書、自己啓発本として「引き寄せ力」を説いたものは多い。どんなときでもポジティブさを失わず前向きであることで全てが上手くいく、という点で共通している。ビジネス系雑誌でも「常にポジティブであれ」「常に前に進み続けろ、より高みを目指し続けろ」といったメッセージ性の強い特集が多い。

納得できる点も多いが「すでに宗教や超常現象レベル?」と思えるような行き過ぎ感を感じていただけに、この本には喝采をおくりたい。歴史的背景、宗教的背景との関連を盛り込んだこの本は非常に読み応えがあり、また冷静でもあるので「引き寄せ力」の実践にちょっと疲れを感じている人はこの本を読んで、ポジティブ教を少し客観的に見てみて欲しいと思った。

★を減らした理由は、翻訳がかなりお粗末なため。直訳具合がまるで初心者。出版側は実力のある翻訳者を選択して欲しいと思う。いくら本の内容がよくても翻訳が悪いと台無しになってしまうので本当にもったいない。どちらかというと原書で読むことをすすめたい。
無理してポジティブを追うカツマー症候群の人達に読ませたい ★★★★☆
なるほど、、、と思った。
何かのインタビューで堤未果が、「ポジティブシンキングはアメリカ人にとって手段です、皆が心から変わるわけじゃない」と言っていたが、よくわかる。
無理してポジティブシンキングにしなければと言うのは度を超すと強迫観念になるのだ。

著者はニッケルアンドダイムなどでアメリカの負の部分をえぐり出したジャーナリスト。
貧困大国アメリカの堤未果と非常に近い、硬派な路線だ。

目からうろこの本
明るい思考法の暗い落とし穴 ★★★★☆
 根がひねくれ者のためか、「ポジティブ・シンキング」など脳天気の別名くらいに考えていた。だから本書を知った時、そうした脳天気さを皮肉に笑い飛ばした本だろう、程度の軽い気持ちで手に取ったのだが、実際の内容はもっと深刻で恐ろしいものだった。
 きっかけは、著者が乳がんの治療中に出会ったがん患者のコミュニティ活動の中で、不安や絶望感を持つことが「ネガティブ」だと責められ、がんを克服できなかった患者が「敗者」と決めつけられることに抱いた疑問だという。米国社会に深く根付いた楽観主義の系譜。それは、ポジティブ思考で病気が治り願望が現実化すると主張する疑似科学を生む傍ら、ビジネス本の出版や企業向けの講演で利益を上げる一つの産業ともなり、さらに一部のキリスト教のセクトとも結びついて宗教化・イデオロギー化する。
 そしてその時、「ポジティブ・シンキング」は効果的な搾取・抑圧の道具と化す。「努力すれば成功できる」は「成功できないのは努力を怠ったから」にすり替わり、失業や貧困、さらに病気や天災までもが当人の怠慢と「ネガティブ思考」のせいにされて、社会的弱者や貧困国を切り捨てる根拠になる。明るい未来を信じて疑わない一般大衆は社会の不公正・不平等の是正に関心を示さない。企業は解雇した社員に(時には本人の負担で)自己啓発の講習を受けさせて会社への批判や不満を封じ込め、一方で、自身も「ポジティブ・シンキング」に取り込まれた経営陣はリスクを無視して高利回りの投資に巨額の資金を注ぎ込み、最終的にバブル崩壊で経済を破綻させた。
 本書は基本的に米国の話だが、登場する自己啓発本には日本でベストセラーになったものも多い。世のビジネスマンの皆さん、そういう本の内容を軽々しく信じ込む前に、例えば藪のむこうにサーベルタイガーが隠れていないか警戒できる思考法も、きちんと身につけておいた方が良いですよ。
抑圧に なるんだポジティブ シンキング ★★★★★
1.内容
ポジティブ・シンキングは、別にアメリカだけではないが(本書では共産主義諸国の例も載っている。p245参照)、それはさておき、アメリカはポジティブ・シンキングの信仰者が多くて、陽気な人が多い。しかし、実際には、ポジティブ・シンキングは、強者(本書の表現では、例えば「雇用者」)が弱者(労働者)を抑圧する道具になっており、さらには、正確に物事を見通す考えではないので(ネガティブ・シンキングを排除するので)、経済を破壊することがある。むしろ、クリティカル・シンキングの方法を学び、物事を正確に見通し、健全な警戒心を持つべきである。このような問題意識の下、アメリカにおけるポジティブ・シンキングの歴史、企業や学問の世界での活用などをも書いたのが、この本である。
2.評価
私はマーティン・セリグマンの本を邦訳で何冊か読んでおり、それからすると、著者の読み方には若干の疑問を感じざるを得ないが(『オプティミストはなぜ成功するか』(講談社文庫)を読めばわかるように、決して悲観主義を全否定しているわけではないから。もっとも、「ポジティブ心理学」を唱えた現在ではどうなのかは本レビュー時では忘れた)、全体としては、(1)著者同様、私もクリティカル・シンキングなど、正確に物事を見るほうが、ポジティブ・シンキングよりいいと考えているし、日本でも類書があるものの(ニューソート派の考えがベースであることも述べられているが、本レビュー時点では題名を失念)、ニューソート派や、プロテスタントとの関係が述べられているし、(3)なんといっても、現在のアメリカをビビッドに描いているところがよいので、星5つ。