EWIを全面的に使用、最高の面子!
★★★★★
1986年12月リリース。ブレッカーの記念すべき第1作目のリーダー作。録音はニューヨークのパワー・ステーション・スタジオと明記があるのでスタジオで録り貯めたのだろう。初めからパーソナルは最高で、マイケル・ブレッカー(ts・EWI)、ジャック・ディジョネット(ds)、チャーリー・ヘイデン(b)、パット・メセニー(g)・・・・と、ここまでは『80/81』と同じ面子・・・・、ケニー・カークランド(p)、である。これ以上望めない布陣の上に、マイク・スターンが2曲の曲供給までしている。恐るべき豪華さ。全米ジャズ・チャート19週連続1位も当然だろう。
ブレッカーがこのアルバムで試したかったのが、EWIだったのが随所に出ている。EWIは初め、STEINER HORNとしてナイル・スタイナーによって手作りされたもので、後に日本のAkai(今は潰れてもう無いが・・・)が基礎基盤から改善して創り上げられたもので、専用音源EWV2000との組み合わせで使われていたが、MIDI対応となり、YAMAHA TX7やオーバーハイム・エキスパンダーと連結し、このアルバムでは使われている。聴いていると後々のパット・メセニーのギター・サウンドにも影響を与えている気がしてならない。
ブレッカーのやりたかった音を最高の面子が支えるカタチのアルバムになっていて、随所で唸ってしまう。しかもレーベルはブレッカーの敬愛するコルトレーンと同じインパルス。1,000を超えると言われるアルバム参加が培った人脈の中で、満面の笑みでセルマーのサックスを抱くブレッカーの姿が全てを物語る傑作だ。
シンセサイザーが全てを台無しにした
★★★☆☆
このアルバムは全米ジャズチャートで19週連続一位を記録したそうだ。メンバーはパット・メセニー、ジャック・デジョネット、チャーリー・へイデン、ケニー・カークランドと素晴らしく、当然演奏もいい。これで文句を言ったらバチが当たりそうだが、問題がひとつある。それはシンセサイザーを使ったサウンドだ。残念ながら、その薄っぺらなシンセサイザーの音が全てを台無しにしてしまった。ブレッカーは曲によってスタイナー・ホーンとやらを使っているが、パットのギター・シンセとは訳が違う。全編アコースティックでやって欲しかった。本当に残念。 だけど80年代の音楽が好きな人、シンセサイザー何が悪い、という人にとっては最高の作品でしょう。