乱歩ファンのマストアイテム
★★★★★
正直高額な書籍であるが、乱歩ファンは持っておきたい一冊であろう。
時局の流れで実質筆を折らされた乱歩が、膨大なスクラップとメモを集めた「自分の為の自分史」が本書。オリジナルは門外不出の品であったが、春陽堂「江戸川乱歩推理文庫」完結を祝して、講談社から出版された「レプリカ」が本書だ。
乱歩自筆のメモ、引越し魔乱歩が都度記した新居の間取りなども興味深いが、当時刊行された乱歩作品の新聞広告などが、情感満点。乱歩作品に触れる時、イメージを膨らませるのに大きく役に立つであろう。
非常に面白いのは、コナン・ドイル死去に当たって、ラジオ番組にコメンテーターとして乱歩が出演した折の、コメントメモ。そして、後年ヴァン・ダインが死去した折、ドイルと比して極端に低いマスコミの取り扱いを嘆く乱歩の感想が印象的であった。