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パンドラ・ケース―よみがえる殺人 (文春文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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時代の備忘録か ★★★☆☆
学生時代のサークル仲間が17年振りに雪山の温泉で同窓会を開く。だが、雪の状況により外界と隔絶化した中で連続殺人が起こる。まさにミステリ的設定だが、読んだ時は2時間ドラマ向きだと思った。本格ミステリとしての骨格は弱いのである。

むしろ、趣向として出て来るタイムカプセルの話が面白い。各自が往時に封じた品物を次々に取り出して行くのだが、これが過去の事件の証拠物件となると共に、"その頃"の時代を読者に思い起こさせるのである。事件自体は、メンバの過去が次第に明らかになるに連れ、過去の事件が現在の事件に繋がっている事が示され、殆ど自然に解けてしまうので、たいした興趣はない。それより、ある時代の出来事を刻印する事に作者の意図があったのではないか。

作者としては珍しい本格ミステリ仕立てで、時代の備忘録として機能している作品。
青春時代を懐かしむ・・・ ★★★☆☆
学生時代に所属していたサークルのメンバーが、17年ぶりに雪の温泉宿で再会することから起きる連続殺人事件。
浮世絵ミステリー三部作に登場する塔馬双太郎が探偵役として登場するが、本書は本格ミステリーというよりも、塔馬を含む大学時代の仲間達の青春時代が主題となっているため、純粋なミステリーとしてはちょっと強引かな・・・と思う部分もある。

しかし、時代は違ったとしても誰にでもある甘く苦い青春時代の思い出とミステリーとをうまく重ね合わせてあり、最後までぐいぐいと読ませる力がある。
特に塔馬と同じ年代の方(1970年前後に学生時代を過ごした方)にとっては忘れがたい事件の数々が、事件の重要な小道具として登場するので、よりいっそう感慨深いものがあるのでは?

学生時代を思い出す・・・ ★★★☆☆
大学時代に属していたサークルのメンバーが17年ぶりに雪の温泉宿で再会し、そこで連続殺人事件が起こる。犯人を探すうち、とっくに封印した筈のそれぞれの過去が蘇る。

浮世絵3部作に登場する塔馬双太郎が探偵役として登場するが、純粋なミステリーとしての水準からいうと、正直なところちょっと・・・と思う部分もある。が、それ以上に誰にでもあった青春時代の思い出が様々な小道具によって描かれ、物語を奥深くしている。

学生時代の友人というのは、若かった自分の良い所も悪い所もみんな知られているので、特別な存在なんだなーと考えさせられた。