しかし、時代は違ったとしても誰にでもある甘く苦い青春時代の思い出とミステリーとをうまく重ね合わせてあり、最後までぐいぐいと読ませる力がある。
特に塔馬と同じ年代の方(1970年前後に学生時代を過ごした方)にとっては忘れがたい事件の数々が、事件の重要な小道具として登場するので、よりいっそう感慨深いものがあるのでは?
浮世絵3部作に登場する塔馬双太郎が探偵役として登場するが、純粋なミステリーとしての水準からいうと、正直なところちょっと・・・と思う部分もある。が、それ以上に誰にでもあった青春時代の思い出が様々な小道具によって描かれ、物語を奥深くしている。
学生時代の友人というのは、若かった自分の良い所も悪い所もみんな知られているので、特別な存在なんだなーと考えさせられた。