片寄りすぎ思想のぼやき つぶやき
★☆☆☆☆
初期の作品が大好きでしたので全作品を図書館で借りて読んでいます。
イギリスでの楽しい生活、楽しい愚痴、思わずニヤける皮肉がなくなりました。
↓以下抜粋したものです。
p14「私の高齢の読者は文化人で、ほとんどの方が在英経験がおありである。民主主義を学んで帰国された方ばかりである。」
p169悩んでいるカトリックのドイツ人に「ここにきて日本人のキリスト教信者に逢ったということは、神があたたに神を考える
機会を与えられたのです。これは偶然でなく、神、キリストの計画です。・・・一生懸命祈って下さい。
必ず、神からの答えがいただけます。・・・」←高尾さんの言葉です。
p171「倫理じゃない。情緒だと寝言のようなことをいう大学教授の本が売れる。」←「国家の品格」の作者 藤原正彦さんの事です。
p196「共産主義とカトリックの教義や信仰は矛盾しないのだ。私がそうであるように。」
p201「国家の品格」や「美しい国へ」が日本の伝統の価値だと思われている間は、
日本はグローバリズムの国際社会の仲間入りは当分できないであろう。
以上です。
イスラムと日本は精神的にも宗教的にも遅れている。
カトリックこそが最高。そして私はカトリックを愛している。という作者の考え思いがあります。
この本を書いていた時はイギリス経済は絶好調でイギリス国籍を取得するか迷っていましたが今のイギリスの状態でも取得するのか
興味があります。一読者として作者はカトリック中心主義ですので日本よりキリスト教が盛んなイギリス国籍をぜひ取得するべきです。
いつの日か第1作みたいな読んで楽しくなるような作品が読みたいです。
『批判』というより『罵詈雑言』である
★★☆☆☆
この著者の本は初めて読みました。
批判でない部分は結構面白い部分もありますが、何かを批判している部分は『批判』というより
『罵詈雑言』という感じです。
筋の通った考察を行わず、テーマというか、語りたい事に一貫性がなかったり、 短絡的に結論
付けている事が多く、不愉快な部分が多いです。
過去の歴史(近代史)についてもあれこれ言っていますが、これも突っ込みどころが満載です。
著者はイギリスで、今まで知らなかった知識や歴史観に触れたのだと思われますが、英国が自国民
向けに歴史を美化歪曲し、反面日本を蔑んだ歴史を、客観的で中立だと勘違いしてるのではないか、
と思います。
ネタばれになりますが、個人的に一番ウケたのが、著者が東条英機を『超A級戦犯』と評した部分
でした。
A級戦犯に『超』をつけるなどというのは、単に感情的というだけでなく、著者の極東軍事裁判に
ついての知識はいい加減なのではないでしょうか。
日本の政治家を批判している部分もありますが、これもひどいものです。
マスコミは、政治家が何を言いたいか、よりも発言の一部のみを拡大して論旨と無関係なレッテルを
張って中傷記事を書く、という事をしばしば行っています。
著者もマスコミがそういうものだとは、一般論として気づいている様です。
しかし、政治家等に対する著者の意見はマスコミの意図通りに踊らされているのでは、と感じる部分が
多いです。
ともあれ、人様の悪口を聞いてストレス解消にしたい方は購入しても良いかと思いますが、
知識や教養を得たいという方は、もっと別の本を読んだ方が良いと思います。
文庫書き下ろし新作です。
★★★★☆
今回の本は、今までの様に「イギリスに住んで思うあれこれ」というより、主に母国日本の状況を心配し憂えている内容がメインになっています。
もちろんそれだけではなく、高尾さんが訪れたスイス・ドイツの旅行記もあるのですが全体としては「日本への提言」といった感じです。
高尾さんいわく「最初の著書を書いた時に比べ、イギリスはとても住みやすい国になった」との事で、イギリスの様子やユーモアある生活記の様な初期の雰囲気を期待して読むとあれっ、と感じてしまうかも知れません。
日本に住む者としては、複雑な気分になりますが・・・。
なお、この本は2006年にソフトカバーで出た「やっぱり、イギリス人はおかしい」の文庫化ではなく全くの書き下ろし内容です。
てっきり加筆してタイトルを文庫化の際に替えたのかと思っていたので、読んで驚きました。
高尾さんのエッセイを全てチェックしている方は、この文庫も目を通された方が良いかと思います。