おばさんたちの「文化反乱」を見事に分析
★★★★★
イ・ヒャンジンは英国のシェフィールド大学の先生。カルチュラル・スタディーズの傑作ともいうべき著作でした。「韓流おばさん」を丹念にインタビューして、実態を解明しているだけではなく、韓流を揶揄・冷笑する日本の男性保守文化=メディア状況をも鋭く切ってみせ、韓流おばさんの「文化反乱」をみごとに分析して見せる手腕はただの学者ではないという感じでした。書き方も学者の論文ではなく、分かりやすいく勢いのある文章で(訳者がすぐれているというのもありますが)、韓流ドラマや映画、韓流の研究論文などの参照は簡略化されてはいますが、ものすごい量をこなしています。日本のどこかの哲学者のようにドラマも見ずに批評するなどはやっていないですね。行間には日本や韓国社会にたいする精緻な分析言語がちりばめられており、感心してしまいます。