これは酷い…
★☆☆☆☆
内容に間違いが散見されました。評価も高く、値段も高い本だったのに残念でなりません。
社会科学のあり方や存在意義を考えさせられる知的な旅行!
★★★★★
本書は,実験経済学を目指す研究者はもちろん,すべての経済学を目指す人にとって,必読の書である.その理由には実利的なものと,それを超えたものがある.
まず,この書は,内容はまるで理論の系付図を読むように美しく整理されており,読む人は大量のジャーナルを何年もかけて読むかわりに,数日間でのショートカットをさせてもらえることになる.日本語で,これだけの内容を読めることは何よりも有り難く,「ご利益」といいたい.
本書の2章において,実験経済学の手法開発の歴史とその評価にも触れていることは最初の要である.成果だけを紹介する本ではないのだ.特に,ほとんどの実験経済学者が用いることになる,謝礼金による選好の統制や,BDM方式について述べているので,これから実験を少しでもしてみようという人は,読んでおかなければならない.研究者として,いまさら聞けないことが書いてある,といえばいいだろうか.
第3章では非協力ゲーム理論への実験経済学がどのような検証をしてきたのか,それをふまえて,第4章では,利他的な協力ゲームも含んだ,行動ゲーム理論とその実験が,最新の理論とともに紹介される.明確に実験経済学と行動経済学を分けて論じているのも特徴である.
圧巻は第5章で,今まで学習した理論への,第一線の学者からの批判とともに,実験経済学の課題が,BaconやHopperの科学哲学に述べられている.ここまできてはじめて,第2章の意義に気づかされる.この本を読みきることで,追い求める学問が,社会科学として成立し続けるための手順そのものを,一度終えることになるからだ.仮説検証の手法への絶え間ない批判と検証,それを踏まえた科学の実践と知見の蓄積である.まるで長い旅行にでるような,それも深い森にでかけ,戻ってきて再び元いた世界を見つめる,というような体験をこの本はもたらす.
大袈裟ではないので,ぜひこの本をじっくり読破して,その不思議な気持ちを体験してほしい!自信をもってお勧めする!
数少ない日本語の行動ゲームの本
★★★★★
すでに他のレビュワーさんが書かれているように、本書は決してやさしくない。
だがその分扱われているテーマは濃い。
特に有用なのは、行動ゲームについてかなり詳しく書かれている点であろう。
洋書ならばBehavioral Game Theory: Experiments in Strategic Interaction (Roundtable Series in Behaviorial Economics)などのよい教科書があるが、日本語だとあまりなかった。
そもそも行動経済学自体が、日本語の本だと「人間心理って面白いよね」レベルで止まっている読み物の本ばかりである。
そのような状況において、きちんと数理化された行動モデルを解説している本書の価値は大きいだろう。
実験経済学の将来に非常に期待
★★★★★
内容としては
第1章 実験経済学とは何か
第2章 実験経済学の原理と方法
第3章 ゲーム理論実験
第4章 行動ゲーム理論
第5章 実験経済学の課題と将来
という章建てになっています。
自分は大学でミクロ経済学を学んでいる者です。
行動ゲーム理論という章にひかれて購入しましたがいかんせん難しいです。
学部でミクロ経済学もしくは数学を学んでいなければ、正直9割は理解できないと思います。
本書の謝辞いわく、大阪大学大学院経済学研究科博士論文を2/3に圧縮したものであるそうですが、
確かに全体として論文らしい(というか論文)内容となっており、"初心者にもわかりやすく"
という本を探すなら、他の本をお勧めします。
しかし、難しいといっても、それはあくまで扱う内容が高度という意味で、
文章の書き方や図表(図表目次付)は懇切丁寧に書かれており、じっくり読む甲斐が非常にあります。
教科書、もしくは経済学そのものを学ぶ上でのガイドとしてはとても有用だと思います。
自分はこの本を読んで、この本を理解できるようになるまでは勉強しようと思いました。
大学在学中にこの本に出会ったのは幸運だったと思います。