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狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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産廃行政に潜む闇と行政対象暴力の構図 ★★★★☆
 本書は2001年、栃木県鹿沼市で産廃行政担当の市職員・小佐々氏が何者かに拉致、殺害され、遺体なき殺人事件、行政対象暴力という構造から注目された事件を、地元紙・下野新聞取材班が詳述した好著である。
 恐るべきは産廃行政に潜む闇であろう。この業界は利益率が非常に高く、しかも暴力が横行し、それを質そうとしても行政マンが孤立無援になる。市役所・市議会ですら産廃業者側に取り込まれ、事なかれ主義と癒着で慣れ合うような対応と構図があり、更に政争に塗れた町の権力闘争が派閥的人事として影響を及ぼし、組織として悪質業者に立ち向かうことができない。そんな不誠実な対応と暴力の隙間に小佐々氏の命は呑み込まれていったのだろう。
 しかし解せないのは、一連の事件の首謀者とされる谷津(仮名)氏の自殺である。本書を深読みするならば、この谷津氏に対しても圧力をかけた存在があるのではないか、一番良い思いをしていたのは彼の背後にいたものではないかとの疑念すら浮かびあがってくる。
 そこまで追及できれば最高の評価も与えられたのだが、残念ながら裏が取れなかったものと推察される。地元密着の地方紙としてよく書かれているが、ここに対してはマスコミの限界も感じてしまう。全国紙では書けないものを書けたかもしれないが、逆に地方紙であるが故に書けないものもあるのだろう。好著であるが故にそこだけは惜しい。
 しかしだからといって本書の価値は決して落ちるようなものではない。産廃行政の闇と行政対象暴力の問題点を的確に指摘したこの本は、権力と暴力が取り巻く日本社会の縮図をあぶり出し、どう戦っていくべきかの示唆に富んでいる。「襲われて―産廃の闇、自治の光」と併読すれば、どこでも問題になるゴミ・産廃についての問題点をより深く理解できるだろう。
これぞ地元メディアの真骨頂 ★★★★★
行政対象暴力がクローズアップされる端緒となった「鹿沼事件」。遺体なき殺人事件として話題を集めたが、本著は事件の真相究明のレベルを超え、行政が抱える潜在的な問題点をもあぶりだす。結論は比較的よく言われていることなので新鮮味はないが、実際に起きた事案を基に書かれているため非常にリアリティーがある。

取材班による約一年間にわたる事件の追跡取材は多数の障壁に遭遇している様子がよく読み取れる。それでも一定の結論を導き出しているのは「さすが地元メディア!」と思う。大手紙やテレビはこれほどまでに時間と労力を費やすことができるだろうか。地元紙の真骨頂を見た。

公務員には思い当たることもある内容 ★★★★☆
 圧力に迎合する者、曲がった行政を元に戻そうとする者、この本にあるように、殺されたり、自殺したりするケースは少ないだろうが、圧力をかけられて悩む公務員は多いことだろう。
 この本は、そのような場合の支えになってくれるかも知れない。
 公務員には、読んでみる価値のある本だと思う。