インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

天を衝く(3) (講談社文庫)

価格: ¥730
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
情熱と冷静の間で、本当にやるべきことは何か ★★★★☆
「天を衝く」文庫最終巻3巻は、いよいよ九戸城籠城戦のクライマックスです。
前巻まで、繰り返す戦術・戦略論の展開と、九戸党の熱い思いで、読者も登場人物も、頭も心もヒートアップしていたところを、この最終巻では対照的に、結末を見越しての決起…クールでしかし晴れ晴れとした最終戦となりました。端的に言うと、意外とあっさり終わった感があります。
 この展開について、著者高橋氏自身が「7年もこの小説と向き合っていた。政実が『もうよいのだ』と言った気がした」と巻末に書いており、著者がわざと、こう展開したようです。
 豊臣連合軍との最終戦に沈黙を通した八戸氏が、途中から全く描写されなくなったことや、政実の姉妹と嫁にもらった七戸家国との家族についての描写がない、など、多少、後半、小説として消化不良の気配は否めないのかな、とは思いました。
 史実とは違うところも所々あり(そもそも資料自体にほとんど残っておらず、整合させることすら難しいとか)、内容はあくまで高橋氏の推論、ではあるのですが(気をつけないとこれが史実だと思いかねない(汗))、この推論は支持したいと思います。
 このReviewを書いている私は、まさに九戸生まれ・九戸育ちなのですが、九戸の人間にとって、九戸政実は、蝦夷の活躍と同様に過去の栄光であると同時に、“みちのくは結局最後は中央に勝てない”といういい反面教師、というか、トラウマ的存在だったような気がします。無念な最期であっただろう、という想像が先に立ってしまい、無意識に、触れないように押入れの奥に押し込めるような。
 そんなネガティブな印象を、この小説は払拭してくれました。「土地に縛られるな」という文章が小説内にありますが、九戸の人間には一番胸に響く言葉です。しかし、土地に縛られても、上司がどんなに無能でもw、必要なことを自分の思う存分やれば、勝とうが負けようが、死のうが生き残ろうが、やる意味があり、思いは晴れる……熱い思いだけでもなく、理知的な先見性だけでもない九戸政実の人生を、魅力的に推論してくれ、九戸政実を遠慮なく尊敬しなおさせてくれた、大好きな作品です。まさに、冷静と情熱の間で、本当にすべきことは何か、ただ、熱いだけでない歴史推理小説でした。
 付け加えれば、映像化希望ww 大河ドラマとかではダメですか?w
英雄活劇 ★★★☆☆
燃える要素満載の、男の物語です。それは間違いない。
ただし、引っかかるところも多々あります。
読み方によっては、主人公の九戸政実が、戦争には強いが上から目線で偉そうな負け組にもとれます。
恥とか義とか心意気とか、それは大事なんだろうけれども、そのために女子供まで皆殺しになった史実を踏まえると、読後はちょっと不愉快でした。
この作品はまさに英雄活劇で、政実カッコイイ〜と読んでられる間は非常に気持ちいいんですが、政実に疑問を感じ始めると厳しいです。
小説として許容できるか ★★★☆☆
著者の作品の『炎立つ』なども読んでいるが、どれも感動する歴史小説だと思う。

しかし、この作品は安土桃山ということで判明していることも多いため、どうも歴史から逸脱してきていることが判ってしまう。
実際、九戸城跡地からはなで斬りにされた女性の骨も出てきているそうな。

あくまで小説であり、フィクションとして捉えられたら良い作品と思える。
だが私としては歴史として判らない部分を、想像で補ったものを求めていたので星3つです。
ただ、この3巻を買う人は1〜2巻を既に読んでいる人が殆どだと思うので、この巻を読んで終りにするべきだと思う。
読み終わるのが惜しい、ずっと読み続けたかった作品。 ★★★★★
歴史小説で泣かされるとは思わなかった。
高橋克彦さんの作品の中で一番好きな、胸を熱くさせられる作品です。

本当に3巻目は読み終わりたくなくて、ゆっくりと少しずつ読んでいった記憶があります。
こんな思いで読んだ作品はこの天を衝く意外にありません。
情念の勝利 ★★★★★
 「炎立つ」「火怨」そして「天を衝く」と高橋克彦さんの陸奥三部作といわれていますが、いずれもプロット、登場人物の造形、行動、ラストでの決断などは類似しています。台詞を二つ三つ入れ替えても見分けがつかないかもしれません。
 しかしながら、3作いずれもが概ね高い評価を得ているのは、盛岡在住である作者、高橋克彦さんのまさに情念のなせる業なのでしょう。一言で言ってしまえば、勝者の歴史、中央の歴史、それらばかりが正史だとは努々思うな、或いは正義があったから勝者になった訳ではない、という歴史上、政治上、近年まで軽視されてきた東北地方から中央への痛烈な異議申し立て、これだけは言わせてもらわねばならぬ、という情念のようなものが作品全体から迫り、それが読む人をして、登場人物たちへのシンパシーを感じさせるのでしょう。