ソースをきちっと書いて欲しい
★★☆☆☆
まあ、七年も前の本だから仕方がないのかな。「あれっ??」と思うような箇所が結構あります。
ザメトキンのことをザメキン、ファインゴールドのことをファインゴルトと言っていたり、ADHDのことを「病気か?」なんて議論したり。最近はADHDを「特性か障害か」とは議論しても「病気か」とはあまり言わないのではないのではないでしょうか。
ザメトキンによる脳の代謝の研究については、ザメトキンが三年後に、青少年に同じことをやってみて上手くいかなかったとか、最初の研究にも問題があったと発表していること(Alan Zametkin et el., "Brain Metabolism in Teenagers with Attention Deficit-Hyperactivity Disorder," Archives of General Psychiatry, vol.50, May 1993, pp.333-340)は知らなかったのでしょうか。
リタリンによる成長障害の副作用の可能性に関しても、「たくさんの子どもへの長期使用経験の積み重ねによって、実際には問題にならないことがはっきりしている」と書かれているのですが、それだって2006年2月には、判定不能とHealth Day Newsで報じられました。それに子どもに薬物依存の心配がないと言いながら、「長期使用」が現状でたくさんあると言っているんだなとも感じます。
調査、研究を引き合いに出して、自説を展開するのなら、ちゃんとソースを示して欲しいなとも思います。「別の調査では・・・」「カプランの教科書では・・・」といった言い方では、どこで検証すればいいのか分からなくなってしまいます。