ベイエリア分署シリーズファンになった!
★★★★★
安積はじめ、その部下達のキャラクターが良い。
みんな味があって、良い仲間達といった感じ。
部下の心境を思い悩んだり、上司からの圧力に反発したり、民間企業で
言えば「悩める中間管理職」と言ったところか。
若干ストーリーに物足りなさは感じるけれど、このページ数では良くま
とまっていると思う。
あっというまに彼らの魅力に引き込まれて、一気読みしてしまった。
シリーズの他の作品も読んでみたい。
ベイエリア分署シリーズの第1作、待望の復刊。
★★★★★
「東京湾臨海署」は警察署の規模が小さいので「湾岸分署」あるいは「ベイエリア分署」と呼ばれています。
警察署の名前や所轄と本庁の対立など、「踊る大走査線」の「湾岸署」のモデルになったシリーズと言われています。
そのベイエリア分署シリーズの第1作である安積警部補シリーズ「東京ベイエリア分署」(1988年・大陸書房刊、
帯には「颯爽と安積警部補初登場!」とありました)の待望の復刊。
勁文社文庫になる時、改題されたのと「交機の小隊長」が「交機の速水小隊長」になりました。
そう、なんと速水は第1作から格好よく登場していながら名前がついてなかったのです。
ベイエリア分署シリーズのファンにお勧めの1冊です。
新たな警察小説の先駆け
★★★★☆
東京湾臨海署シリーズ第2弾。
前作が登場人物ひとり一人にスポットをあてるような人物紹介的な要素もあった短編集だったのに対し、今回はそのメンバーたちが一つの大きな事件を追う長編。
続編とはいえ、ここから読んでも十分楽しめる。
ライブハウスで女性が毒を飲んで死んだ事件が発生し、臨海署からも応援を求められる。ほかにも事件が続き要員を裂けないないため、係長の安積は部下を1人派遣。しかしこの部下が警視庁から来た刑事らに不当な扱いを受けるのを見かね、ついには自ら捜査本部に乗り込んでいく。一方、安積班の別のメンバーは、捜査中の別件の資料から、ライブハウス事件につながるヒントを得る。部下を信じる安積は、捜査本部を分裂させてまで、その線で事件を追うが・・・。
個性的な部下たち、官僚的な警視庁のキャリア、警察内部の縄張り意識や階級意識、などなど、横山秀夫らが台頭して定着した感のある警察小説の新要素が、1988年に書かれたこの本にすでにあるのが驚きだ。
事件の捜査の部分では、「これで公判維持できるの?」「それだけの証拠で逮捕状を請求できるの?」と疑問がわく部分もなくはない。けれども、それらの欠点を補う魅力が、主人公の安積にはある。
本人は<愛すべき部下たち----それに対して、自分はただうなずくだけだ>なんて自嘲しているけれど。