須田ファンに特におすすめ
★★★★☆
ハルキ文庫での発売が、「硝子の殺人者」より後になっていますが、実はこの「虚構の殺人者」の事件の方が先に起こった話。両方未読なら、まずこちらから読むことをオススメします。
さて、安積警部補シリーズのファンの方なら、文句なく買いの一冊でしょう。
特に今回は、須田が大活躍します。
事件は華やかな芸能界で起きる殺人事件。筆者はかつてレコード会社にも勤務したことがあるそうなので、「虚構の世界」という芸能界の話にはなかなか説得力があります。
以下はシリーズを知らない方向けのレビュー。
筆者の今野敏は、多数の警察小説を描き続けていて、現実にはあり得ないような特殊能力を備えた捜査の小説や、伝奇的な小説など、エンタテインメント性の高い作品で知られています。
そんな今野氏の作品の中では、やや異色のこのシリーズ。エド・マクベインの87分署シリーズなどが好きな筆者が、事件そのものより一人一人の刑事を生き生きと描くことに重きを置いた<ライフワーク>でもあります。
というわけで、安積警部補と、その魅力的な部下が活躍するこのシリーズは、どの作品から読んでも違和感なく入れます。とりあえず警察小説好きな方は、読んでみてください。