読書会
★★★★☆
当時の「探検記」としては、わくわくどきどきさせてくれる作品であったと思うが、地球が狭くなった今、変な話、女子大生が行っちゃうくらいな旅行記に心が揺さぶられない。また、開高のようなガイドもいて、お金もかける旅行スタイルではなく、一人で貧乏旅行する物語が多数出ている中では、旅行記としては評価できない。でもアマゾンの開発の話を読むと、なぜだか悲しくなる。今も昔も自然破壊は変わらなく、そしてその現状はただ、悲しい。
そんなところを切り取った、「悲しみ」の作品だからこそ、これまで長く読み継がれたのではないであろうか。
漂う虚無感と漲る活力
★★★★★
開高氏の書物は、10年前に30代前半で「はまった」。以来、小説も含めてかなりの量を読んできた。中でも、この「オーパ」は最高傑作の一つだと思う。氏の「輝ける闇」や「フィッシュ・オン」と並んで、私にとっては、再読・再々読・再再々読に耐える貴重な作品たちの中の一つだ。
文章表現の濃度と密度は「輝ける闇」に、キレの点では短編をまとめた「フィッシュ・オン」に軍配が上がるように思う。が、この「オーパ」には(もちろん昨今の安直な流行作家とは比較にならないほど文章は素晴らしいが)不思議な力がある。素晴らしい写真と相俟って、新鮮な驚きの連続で頁をめくる度に読み手に活力が漲ってくる。が同時に、太陽ぎらつく南米の川と魚と人を描いていながら、全編に静かに漂っているのは何とも言えない虚無感だ。この虚無感がクセモノで、どういうわけか何回も引き付けられてしまう。その理由は分からない。「現代のアマゾンは、もっと自然破壊が進んでいるんだろうなあ。それも人間の業なのだなあ」ということを勝手に想像してしまうせいかもしれない。とにかく、また今宵も読むのだ。
これは単なる作家先生の釣り紀行ではない(その後に出された続編群が次第にそうなっていくのは残念だ)。御本人が意識する・しないに関わらず、本作品は氏の内面までも絞り出した、「小説」でもあるように思う。その意味では、本作品は舞台をベトナムから南米のジャングルに移した、「輝ける闇」と言えるかもしれない。
すばらしい!
★★★★★
以前読みましたが、文庫化を契機に再読しました。
著者の文体にもグイグイ引き込まれ、氏の料理等の知識には感服します。
いつまでも読みたい一品です。
旅好き、釣り好きな人にとってはハズれのない一冊
★★★★☆
釣りが好きで本書を手にしましたが、期待どおりの内容で、無性に自分もブラジルまで
釣りに行きたくなりました(^_^;)
表紙の写真も、最初はあまり好きになれなかったのですが、読み終わってみると
確かにこの本の表紙として、この写真以上のものはないと感じさせられました。
本文中の写真も本当に魅力的なものが多かったです。
旅好き、釣り好きな人は是非読んでみてください。
疲れた時に読む一冊
★★★★★
印象的な写真でペラペラと眺めるだけでもアマゾンの雄大な自然を感じられる。凶暴な歯を持つ魚達は炭素鋼の針を曲げ、のばし、ねじ曲げ、噛み切り、ルアーを噛みちぎる。黄金に輝くドラド、大人の男と同じ大きさのピラルクー、ピラニアの歯形はまるでスプーンで削り取られたプリンのよう。
本を閉じ、ふと辺りを見回すと色褪せて見える。アマゾンの水を飲んで甘いと言ってみたくなる。