魔女はその本質を問われる
★★★★★
凪メインでの展開たる「ヴァルプルギスの後悔」、それは「運命の物語」と言えそうで……。
何の為に生きているのか?
人間の存在の根源とも言えるこの問い、これに明確な答えを持つことが私には幸せとは到底思えません。どこぞの「自動的な死神」なんかを見ていますと、特に。MPLSに合成人間、そして普通の人間達……それぞれのその問いへの懊悩こそが「今この時の世界」を作っているのだと思いますが、その枠外にいるのがいわゆる魔女"達"であるのでしょう。訳知り顔に全てを知ると語る1人と、自ら自分の在り様を定めた者。戦う運命にあるというこの2人は、この先どう対峙しその過程でどうなっていくのか−−?
かつてのある事件の裏側を新たな登場人物で描きながら、物語は凪の身近な者達をことごとく巻き込んで大きくなっていきそうな様相を示していて。これは凪的に多分最もキツイ展開、「正義の味方」はその生き方をどこまで貫いていけるのか?次巻もまた、大いに注目して見ていきたいと思います。
やられた
★★★☆☆
ブギーポップの番外編みたいならタイトルに詳しくそう書いてほしかった・・・
登場キャラが頻繁に入れ替わり、かつ強引な設定と思われるところがちらほら見受けられた。
ブギーポップ本編を見ればそう思わなくなるのか…とりあえず、注意して買ってもらいたい
下準備
★★★★☆
確かに面白い。
けれど、なんだか「ザ・序章」のような印象。本当の山場のためにいろいろセーブしているというか、まだ伏線を張っている段階のような。
もっと、これ単体でも読ませるような内容にして欲しかったかな。
凪のファンなら買ってよし!
★★★★★
上遠野浩平先生と言えばまず思い浮かぶ作品が、デビュー作でもあるブギーポップシリーズですが、その中でブギープップに負けない人気を誇るキャラクターと言えば、“炎の魔女”こと霧間凪です。
そんな彼女を主人公として繰り広げられるブギープップのスピンオフストーリーが、こちらの「ヴァルプルギスの後悔」です。
霧間凪──学校の成績はテストの点だけならトップクラスだけれど、しょっちゅう学校を休むし、自分のことをオレと言い、男言葉で話すし、好き勝手に町をうろつくしという具合で、普通の人は近寄りたがらない札付きの問題児で、付いたあだ名が“炎の魔女”。だがその裏では人知れず人のために、見返りを求めることなく戦う“正義の味方”をしていて、いつからか世界を裏から監視する統和機構との戦いに明け暮れているのでした。
そんな中、かつて凪に救われた少女、織機綺の元に、奇妙な影が現れて不吉な予言をしていきます。
“アルケスティスとヴァルプルギスの、千年ぶりの魔女戦争──相剋渦動の幕が上がるのだ”
それを合図とするかのように、凪の運命は、周りを巻き込んで動き出すわけです。
まあ細かいストーリーと、その分析などについては他のレビュー等を見ていただくとして、私から言いたいことは、凪のファンなら買うべし、ということです。
もし凪は好きだけれど、何となく買うか否か迷っていると言う方のために書きますと、作中の挿絵やパートの冒頭で凪の様々なポーズや表情の絵が載ってますから、凪ファンにはそれらを見ているだけで眼福ものです。
それでも踏ん切りが付かない方のために、とっておきの情報をお教えしましょう。
挿絵の中には、凪の下着姿もありますよ!
品がない紹介の仕方だと私も分かってますけど、凪の色んな姿が拝めるというのはそれだけで価値があると思いますから。
ともあれこれから先、凪にどんな運命が待ち受けているのか、楽しみであると同時に不安でもあります。
千年ぶりの魔女戦争、相克渦動の幕が上がるのだ。
★★★★★
上遠野浩平の『ヴァルプルギスの後悔』その1。
「私が冷たく、冷静な氷だとすれば、それを溶かそうとする燃えるような炎のような、熱くて鋭いなにか、私はそれと戦うように決められているんじゃないかって、そう思う」
正義を貫く霧間凪の対極の存在・・それとの戦いをまだ彼女は知らない。
じつは上遠野浩平の作品はこれが初めて。
タイトルに「ブギーポップ」と冠されてなかったのでてっきり新作かなと思って読んでしまいました。でもこの本が面白かったのでちゃんと最初から読もうと思って「ブギーポップは笑わない」を読んだとき、ああこれは新作というよりか霧間凪に焦点を当てたストーリーなんだと気づきました。
で、ストーリーについて。
幼き頃の霧間凪と探偵との淡い記憶からのプロローグで始まるこの『ヴァルプルギスの後悔』は、日常に生きつつも変わりつつあるその日常の不穏な乱れを感じ取っている霧間、深淵の底で自身の対となる存在との邂逅を今か今かと待ち焦がれる魔女、そのふたりが主軸となって話は進んでいく。そう、まさにふたりのための物語でもある。
そのふたりの渦中にかつて助けられた織機綺や統和機構の能力者たちが出会う驚くべき怪異や事象のすべては、まるで宿命づけられた魔女たちの激戦への予定調和であるかのようで、じつにゾクリとさせる。
一つの事象を多数の視点から描くスタイルで、要点を隠す。
まだ序章。
眠りについたヴァルプルギスの再燃はいつなのか。
その緊迫感が初見の私でも伝わってくるほど、待ち焦がれる。