文中で、あの有名な中国空軍顧問シェノートがPー40を見て「きみの機のマーキングは素敵だ。おれの義勇航空隊も同じマークにして、フライング・タイガースと呼ぼうかと思っているんだがね。」と、言うシーンがあり、当時の中国での傭兵的外人戦闘機パイロット集団から義勇航空部隊へと変化する時代もよく分かり面白い。飛行機好きには堪らない魅力がある。
昭和十二年の盧溝橋事件から昭和十五年頃までの日中の歴史小説としても読めるが、旗本武士の家系である海軍航空士官の主人公と、米国陸軍航空隊出身のもう一人の主人公である米国人青年傭兵パイロットとの騎士道的戦闘機乗りの葛藤、そして当時の彼らの空への憧憬と空中戦に対する心には、感動させられる。