インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

価格: ¥830
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
無名エースパイロットの生き様 ★★★★☆
日本とドイツが軍事同盟を結んだ頃,ゼロ戦が日本からドイツまで飛行できたことは
驚きだ.ゼロ戦に積まれたレシプロタイプのエンジンは,原理的に言って現代のエン
ジンとあまり変わらないだろう.

しかし,当時の技術でそれだけの距離を飛ばすには,パイロットの知識も必要だ.内
燃機関や空気力学などの知識だ.

戦争末期,日本やドイツが若い兵士を特攻させていたとき,航空隊の教官として安藤
大尉が言う.「私が教えるのは空を飛び,帰ってくる技術や知識だ.特攻をするため
じゃない」

あの狂った時代に,自分の信念を曲げずに生きるというのは大変なことだったろう.
はまった! ★★★★★
作者には大変失礼ながら、飛行機での移動間の暇つぶしに何かないかな〜と空港の書店を探していて「まあこれでいいか・・・」程度の認識で買ったこの本。読み始めから一気にはまりました。あらすじは他の人のレビュー等にありますので省きますが、「それで次はどうなるの・・」と久しぶりに先へ先へと読み進みたくなる作品でした。この作者の他の作品も読んでみようと思います
壮大なる愚行を背景に、清冽な人物像が浮かび上がる ★★★★☆
文句なく面白い娯楽小説。舞台は1940年、第二次大戦が世界に拡散しようとする時代の緊張感を背景に、三国同盟成立前後の短い時間軸の中で緊迫したドラマが展開される。

題材となったゼロ戦のベルリン空輸が史実かどうかはともかく、筆者が取り上げた各地の情勢はそれぞれ迫真であり、ストーリーに厚みを持たせている。描き出される人物はそれぞれ実在人物を味付けしたもののようだが、日本海軍の軍人も、インド独立の志士も、野心溢れるイラクの将軍も、そしてヒトラーの部下ですら、それぞれが真剣な眼差しで何かを成し遂げようとしており、第二次大戦という壮大なる愚行を背景に、清冽な人物像が見事に浮かび上がっていると思う。

ゼロ戦は驚異的な航続力と戦闘能力で一時アジア・太平洋を席巻したが、防御に弱く、結局は多くのパイロットの命を犠牲にした。この小説は単なるゼロ戦礼賛に陥ることなく、最後にドイツ軍のレポートという形でゼロ戦の弱点もビシッと指摘しているところも好感。

自分にとって佐々木譲は初めて。20年も前にこれほどの本を書いた人がいまさら直木賞か、という疑問は残る。ただ文学界の慣行はさておき、ストーリーの面白さと筆力の高さを素直に称賛したい。
いわゆる架空戦記物とは一線を画す ★★★★☆
 緻密に積み積み上げられたディティールの数々が、荒唐無稽な話に十二分の説得力を与えている。実際に零戦が飛行を始めるのは最後の三分の一ほどにすぎない。そこまでの三分の二は、いったいなぜ零戦がベルリンまで飛ぶことになるのか、登場人物たちがどんな思惑でそれを考え、関わり、行動したかを描くことに費やされている。その構造体の完成度にこそこの作品の重みがあるのであり、その意味でいわゆる架空戦記物とは完全に一線を画す(当たり前だが)。
 特にパイロットと妹、そして妹の恋人となる海軍省の役人の三人の人物造形が見事で、彼らがこの後、本作と共に“第二次大戦三部作”と呼ばれる『エトロフ発緊急電』『ストックホルムからの密使』でも活躍するのが納得できる。これらの続編がいずれも何らかの授賞をしているのに比べ、無冠の本作は佐々木譲作品の中でもどちらかというと顧みられることが少ないように思うが、今回の佐々木さんの直木賞授賞を機に再評価されればうれしい。特に飛行機好きなら!
楽しめる!旅行通勤の友! ★★★★☆
じつは、相棒(女性)からポン、と渡された。面白いってよ、と。それほどの期待はせずに読み始め、最後には喝采した。魅力は、安藤と乾、あるいはジム、グラーフといった「空」に魅せられた男たちの描写だ。蛇足ながら評者も二、三度セスナ機、あるいはそれよりやや大型の双発プロペラ機の操縦桿を握ったことがあるが、大空を飛ぶということは、或る意味「究極の自由」を感じる体験だ。主人公の「安藤」。ニヒルなダンディズムただよう「安藤」には横浜が似合い、上海が似合う。ハードボイルド小説、あるいは冒険小説といっても、フォーサイスやラドラムなどとは全く趣が異なる。和風の味付けというべきか、どこかに細やかな情緒がただよう。そこをどう思うかは読者次第だ。ただ、僚友「乾」がイラクを越えたあたりで戦闘に巻き込まれ、失踪したあたりから最後にかけて、ややボリューム感の不足を否めない。「分量規制」でもあったのか。やや、竜頭蛇尾。それにしても楽しめる本。旅行や通勤の友、としては満点である。