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ストックホルムの密使〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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第二次世界大戦末期の日本の終戦工作と、祖国のために立ち上がった男たちの物語 ★★★★★
 「制服捜査」で、その重厚さと綿密さとおもしろさに打たれた佐々木譲の、太平洋戦争三部作の完結編らしい。完結編から読んでしまったが、そんなのはまったく気にならないおもしろさ。スター・ウォーズだって、エピソード4から見た人が大半だけど、おもしろいのと同じようなもの。。ちがうか。なにはともあれ、第二次世界大戦三部作の完結編、ということは、戦争の終わりが描かれているということである。第二次世界大戦の終わり、ということは、日本の終戦、すなわちポツダム宣言の受諾である。これは、第二次世界大戦末期の日本の終戦工作と、祖国のために立ち上がった男たちの物語である。

 物語は、1944年6月1日のパリから始まる。バロンと呼ばれる森四郎は賭け事に興じている。その頃ストックホルムでは、海軍武官の大和田とポーランド人のコワルスキがドイツ軍からおわれている。また同じ頃、東京では、海軍省書記官の山脇が、教育局長の高木から呼び出されていた。この4人の人物の思惑が交錯し、すべては、終戦記念日である1945年8月15日、東京へと収束していくのである。

 全5部からなるこの作品は、史実に基づき描かれている場面も多い。1部は東京への初空襲、2部は東京大空襲の場面で終わる。日本の中心へ連合国が迫る恐怖、そして「全部消失」という報告で表わされる東京大空襲のすさまじさ。3部からは物語性が濃くなる。日本の敗戦を決定付ける情報を大和田が手に入れる。その情報の重要さに、それを確実に東京へと届ける必要があると判断した大和田。電文でのルートとは別に、森四郎とコワルスキを密使としてベルンへと送りだす。歴史的な攻撃の場面で終わる第4部、彼ら二人のストックホルムの密使が運ぶその情報が、無事に東京へと伝えられるのか。そして、第5部。すでに、窮地で打つ手なく四面楚歌の日本。ポツダム宣言の解釈を巡る攻防。日本の将来はいったいどうなるのか。。結果がわかっているのに、ハラハラドキドキ。スペクタクルな大河小説であり、ハードボイルドな冒険小説でもあり、エンタテインメントな歴史小説の傑作。

 なぜか、最後の方の、磯田と秋庭の場面が一番ぐっときたよ、おれは。

 昔、NHKでドラマ化されているとのこと。ぜひ観てみたいし、この作品であれば、今の若い人のためにも再度、映画化なりドラマ化なりをしたほうがいい。いまや、ヒトラーさえ知らない若いやつが多い(まぁ、これは「シンドラーのリスト」観れ、か)。いろいろな意味で怖く感じる今日この頃。
第二次大戦末期の極限のドラマ ★★★★★
 第二次大戦末期という極限、絶望の状況下にあって、必死に己の信じる道を進もうとする男たちの壮絶なドラマ。
 機密情報を入手し、これをなんとしても日本に伝えようとする二人の密使の冒険劇。国際関係を背景にしたスペクタクル活劇としてももちろん読み応えがあるし、重厚かつ繊細な筆致からはそれぞれの登場人物の苦悩が読みとれる。
 非常に密度が濃いが、一気にはまり込んで読み終えてしまうことができる。
祖国という言葉の美しく甘い響き. ★★★★★
この小説は,数年前にテレビドラマ化されたことがきっかけで読んでみました.全体的に読みやすい文体で,第二次大戦末期の戦争当事国を舞台に史実を織り交ぜながら話が展開します.ノンフィクションとフィクションの絶妙なブレンドを感じさせます.様々な印象深い箇所があると思いますが,私は,一貫して「祖国(愛)とはなんぞや」を考えさせられました.

世界からみた祖国と自国の過去だけからしかみていない祖国の違い.この問題は,現代の世界でも決して過去のことではないと思います.
他にも祖国について同じ時代を題材にした小説がありますが,それとはまた違った視点&切り口で新鮮味を感じさせる作品だと思います.

祖国という言葉の美しく甘い響き. ★★★★★
この小説は,数年前にテレビドラマ化されたことがきっかけで読んでみました.全体的に読みやすい文体で,第二次大戦末期の戦争当事国を舞台に史実を織り交ぜながら話が展開します.ノンフィクションとフィクションの絶妙なブレンドを感じさせます.様々な印象深い箇所があると思いますが,私は,一貫して「祖国(愛)とはなんぞや」を考えさせられました.

世界からみた祖国と自国の過去だけからしかみていない祖国の違い.この問題は,現代の世界でも決して過去のことではないと思います.
他にも祖国について同じ時代を題材にした小説がありますが,それとはまた違った視点&切り口で新鮮味を感じさせる作品だと思います.

格好良く生きるとは、如何なることか? ★★★★★
この著者のテーマではないかと、思わせる。人の情に答える、或いは、その人に対する自分の思いを全うする。それが、たとえ自分の命を危険にさらすことだとしても。自己犠牲の精神ではなく、自らを見出すためのその行為。結果など問題ではない。男になりたければ、是非読むべし。