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イノベーションの新時代

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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「個客経験の共創」と「グローバル資源の利用」の価値創造戦略 ★★★★☆
グローバリゼーションやICTの進展で、世界が大きく変化している。
その中で、どのように価値を創造していくのか。
著者は、「個客経験の共創」と「グローバル資源の利用」の2つの柱を提示する。

「個客経験の共創」は、個々人の事情の取り込み。
「グローバル資源の利用」は、特に他社の資源をどう活用するか。
その中で、ICTを大胆に活用し、組織を進化させることに力点を置いた
業務プロセスの変革が大事と指摘する。

「成長の源泉」をどこに求め、どう取り込んでいくのかは、
現代の世界の共通の課題だ。
この本は、そのための視座・枠組みを提供している。
実践と活用は、それを読む私たちの力次第だ。
世界的なダイナミズムの潮流、多数の企業事例はおもしろい ★★★☆☆
本書でいう、「イノベーションの新時代」とは、概略するに、

* ビジネス競争パラダイムの変転:製品からサービスへ、マスから個別識別顧客、顧客行動への対応へ

* そのために企業に必要な変革とは:個別顧客ごとにフォーカスした経験サービス「顧客経験の共創」と
 それを実現するための、「グローバル資源の活用」、そして「(コア・コンピテンシーと
しての)柔軟な業務プロセス改革」「経営層の意識改革」が必要である、という提言。

何度も登場する、上記の柱を枠組みとして、著者たちは豊富な企業事例を引用しながら、
ICT基盤をレイヤー別に区切り、一律にICTというくくりではなく、基盤、業務アプリ、分析アプリ、
データ層など、各レイヤーに最適な、IT企業との連携、共生を組むべきである、と説きます。

グーグル、シスコ、IBM、GEなどだけではなく、特に、インド、中国の先進的企業の変貌と、
世界的人的資源獲得にも注目し、低コストの大量人的資源の調達先としてのインド、中国から、
付加価値、コンサルティングにまで及ぶ、高い付加価値サービスを武器に台頭する新興企業の事例も
豊富に上げています。

やや、ICT基盤に多く紙面を割きすぎている感じも否めませんが、それだけ、グローバリズムの
国境をまたがった、人的資源の確保、移動、仮想的な国際プロジェクトなどの、先鋭的な組織、業務
構造を実現するためには、ソーシャルネットワーキング基盤も含めて、雌雄を決するだけの
重要な要素としてとらえている証左と言えます。

特に、レガシーシステム、旧来の組織構成、旧来のマネジメント層がもつ認識と、構造改革、組織
改革、業務改革、サービス改革などとの軋轢を、いかに克服するか、という点関しては特に
紙面を割いて、主にインドの新興企業の事例を引用しながら、そのポイントを分析しています。

ところどころ散漫で冗長な文章、説明が多々あることは否めませんが、製品企画のブレイクスルー
に焦点があたりがちな「イノベーション」を、プロセスや資源配分から分析するところは、
華々しさはないのですが、さすがに目のつけどころが違う感じがあります。

後段で述べられる、固定された国や企業組織に属して与えられた仕事を行うのではなく、
プロジェクト制で世界各国からダイナミックに、最適な才能をもった人材で組織し実行する
さまは、従来の価値観や働き方とはまったく異なり、人材もグローバル競争にさらされる昨今、
日本人の今後の生き方、人材価値、国際競争力を懸念せざるをえません。
事例がイマイチ ★★☆☆☆
新時代のビジネスは顧客志向でなければならない、というのは、今となってはありふれた主張ですが、ソレを支える企業の神経系としてのITプロセスの重要性に注目した点については、それなりに説得力があります。
ただ、企業秘密なのでしょうか、ITプロセスの具体的内容が明らかではないため、実際に業務をどう分析し、どういうシステムをどのような段階を踏んで導入したかは、あまり伝わってきません。

また共著者がインド出身のためか、インドの優良企業ばかりが事例としてあげられているのもちょっと違和感があります。インドはアメリカとの時差や英語圏であるところ、エリート層の存在など、特異な部分も多く、本当に一般化できるのか疑問です。(それともインドに仕事を出せってこと?)
肩すかし ★☆☆☆☆
プラハードの最新の本ということで期待していたが新規性がほとんどなくガックリした。
同じ事の繰り返しが多く、少なくても「イノベーション」を謳うのであれば、こんな陳腐な
内容でいいのか、と奪われた時間を後悔している。・・・しかしこれも自身の本を見る目
本書でも似た表現があったが「目利き」の無さということで諦めるしかない。
主張に新規性なし ★☆☆☆☆
 本書のテーマは、イノベーションを生むための新しいアプローチである。
 著者の主張は、イノベーションの土台となるのは、顧客との協力関係と社外の経営資源の利用の2点ということだ。顧客をマスと捉えずワントゥワンで対応し、顧客と共同で価値を創造すること、そして、自社ですべてのことをやろうとせず、世界中に散らばる優れた経営資源を活用することでイノベーションが生まれるという。そして、それらを実現するのが、業務プロセスであるとし、業務プロセスの重要性を強調する。さらに、業務プロセスは、情報通信システムと密接に関係しているので、その導入の際の設計が鍵になるという。
 これらの主張は、アメリカ企業や筆者らの出身国であるインドの企業の事例を通して解説される。
 想定している読者は、経営者およびミドルマネジャーであろう。
 顧客との共創やアウトソーシングの重要性については、これまでも多くの経営者・経営学者が主張しているので、あまり新規性がない。また、業務プロセスの強調についても、市場の分析や戦略策定に熱心で日常の業務プロセスに無頓着な米国企業の経営者には、インパクトのある主張かもしれないが、ミドルマネジャーが日々工夫しながら業務プロセスを精緻化している日本企業にとっては、「何をいまさら」といった印象である。
 文章が冗長なので、「はじめに」と第1章、第2章、第8章、そして間の章は章末の「まとめ」を読んでおけば十分である。
 「コア・コンピタンス」の著者であるプラハラードの著作なので、かなり期待して読んだが、正直言って期待はずれだった。もしかすると、実質的には共著者になっているクリシュナンによる単著なのかもしれない。私自身は、「業務プロセスを疎かにしてはいけない」という戒め以外に、ほとんど気づきが得られなかった。しかし、情報システム担当の役員やミドルマネジャーには示唆があるかもしれない。