1975年、アメリカの2人の女性ジャーナリストによって書かれた本書は、自分自身を生かす新しいおしゃれの考え方について提案しているが、それは21世紀になった今でも十分通用するものであり、色あせるどころかかえって新鮮である。
ファッションメーカーの言いなりになり、流行に振り回されることを良しとしない著者たちにとって、服装とは自分自身で選びとり、その人自身の生き方にぴったり沿ったものでなくてはならない。その視点で語られるスタイルは、ベーシックを基本とし、その大切さを踏まえたうえで、アンティークやスポーツウェア、民族衣装などを楽しみながら着こなしていくというもの。いずれにしても、服装に無駄な時間とお金をかけないのがモットーだ。
300枚にも及ぶ実例写真は、少々古さも感じさせるが、イヴ・サンローランをはじめ、写真家やアートディレクターへのインタビューは、それぞれのファッションへのこだわりがうかがわれ非常に興味深い。(夢千慕)
時を経て色褪せないもの
★★★★★
毎年のように移り変わるファッションやトレンド、雑誌は読者の不安を煽りながら流行に乗り遅れないことを強要してきます。そんな中で抱く「何を買い、何を着ればいいのか?」という不安、その答えは至ってシンプルに、この本に書かれています。
この本は着こなしといったマニュアルに留まらず、ファッションについての根源的な哲学について書かれています。初版が出版されたのは30年以上前で、未だに再販が続けられ読み継がれています。ファッション関係の本としてはある意味異色の本です。
具体的な内容は、当時の一流ファッションデザイナーやエディターなどに取材し、美しい写真が数多く掲載されていますが、そこに流れているアドバイスは「流行に流されることなく、定番と呼ばれるもの、丈夫で長く着られるものをまず揃え、その上で自分なりのスタイルやオリジナルというものを付加する」というもので一貫しています。そうした内容は各章ごとに分かれて書かれています。まずは自分が着たことすら忘れて仕事や日常生活に没頭できるベーシックなもの、時の洗礼を経て生き残ったクラシックなもの、機能美の生きるスポーツウェアやミリタリーもの、本当のオリジナルが潜む民族衣装、ファッションの根源である一枚の布の生かし方など、とても興味深い内容でした。
そして上記の特徴は全てこの本にも当てはまります。古くて、そして新しいファッション読本、お薦めです。
いま見てもかっこいい本
★★★★☆
洋服の多様な楽しみ方を教えてくれる本です。
スタンダードなもの、個性的なもの、古着や民族衣装などなど
その服の持つ魅力や取り入れ方のコツ、おすすめの物などが
写真とともに紹介されています。
70年代に出版された本のせいもあるのか、今見てもお洒落で参考になるものが多いです。
写真も面白いですが、イヴ・サンローランやダイアナ・ヴリーランドなどの著名人や
ファッション好きの人物のインタビューも面白いです。
どの人物も、服に対する独自のポリシーを持っていてかっこいい。
トレンチコートなどの定番の服ももちろん紹介されていますが
制服やスポーツウェアなどなど、ひねりのあるスタイルも載っていて新鮮です。
服を自由に楽しんで着ることの魅力がたっぷり伝わってくる本です。
ページ数は少ないが、訴えるものは大きい
★★★★★
私以外のカスタマーの方がご紹介されているように、ファッション雑誌とは違う、
流行り廃り、注目のカラーやアイテムといったことではなく、着こなしについての
考え方や、ある一定の分野に固執しない幅広いスタイルを紹介しています。
どんな服装にお金を遣い、どのようにして着こなしていくか。
自分の着こなしのスタイルが確立してしまえば、何をどのくらいの値段で購入すれば
よいのかといった、不安や迷いを少なからず減らすことができると思います。
内容は初版の1977年から変わっていないようですが、時代を超えてでも
基本は揺るがないと思わされる一冊でした。
魔法のクローゼット
★★★★★
私がこの本に出会ったのがもう20年近く前になります。この本にはファッションの代表ブランドの紹介ではなく、「ブランドの面白い所」を紹介しています。また写真も豊富で、オリジナルな着こなしのアイディアがいっぱい詰まっています。一見ちぐはぐなモノを自分スタイルとして「やってみる」と、新鮮な気持ちになれます。ファッション好きな人、または業界目指す人も一読!損はありません!!また、この本の中にはサンローランが子供のためにかいた「ルル」というイラストがチラリと紹介され、(欲しい!)と願っていたところ、最近やっと発売されました。この本のルルが「カワイイ」と思ったら、ぜひ、こちらもゲットしてください。以前所持していた、「チープ&シック」が、まだ健在なのは「人気の本」だからですね。当時私はこの本を貸したら戻ってこず、泣きましたが、こうして再会できて喜んでます。2部購入しました(爆)!!
これはきっといつ読んでも新しい
★★★★★
サブタイトルが「お金をかけないでシックに着こなす方」。それに期待して読み進めていくと、結局はやり物にはとびつかず、定番の物はお金を惜しまず上質の物を、といういかにもお決まりのようなセオリーが。しかし、文章の合間に挟み込まれている、そのセオリーを実践している(・・と著者が例にとって紹介している)人物の写真は、今見てもとても素敵で妙な説得力がある。おしゃれって何だろう。それは最新流行の物を着て人にうらやましがられるためのものではなく、自分が気分よく毎日を過ごすためのものなのだ。人によっては当たり前の事なのかもしれないが、(私を含め)流行に躍らされやすい人は衝動買いする前に、これを読めばちょっと冷静になれるかも!?本を閉じる頃には、柄物のブラウスやワンピースより体に合ったシャツやTシャツ、流行のパンプスよりも、まず良いブーツを買おうかなという気にさせられた。