いつもの安心感を期待しつつ・・・
★★★★☆
文庫化の再に上下巻に分割されたため、上巻のみで感想を書くのはフェアでないかもしれなが・・・。
私立探偵畝原のシリーズ、文庫としては6作目。
ごく普通の探偵業務から、異常者に関わる犯罪に巻き込まれるパターンが多いのだが、この作品も、そうなのか?
やや、境界線上にあるような気もする。
物語は複雑に絡み合い、しかし、上巻では、当然ながらほつれた塊しか見ることは出来ない。
それが最後に解きほぐされるのが心地好くて、自分はこのシリーズを読み続けている。
基本的に、東直巳の描く犯罪者は常に悪であり、私立探偵畝原と、その周辺の人々は常に善であるという構図は非常に分かりやすく安心だ。
だからこそ、登場人物に感情移入できるし、また、1作ごとに彼らが成長していく姿が、まるで身近な人のように思え、喜ぶことができる。
最後まで読み終えたときの開放感を期待しつつ、下巻を手にしたい。