そんな中で耳にとまったのが、ソロ・トランペットを演奏する関山氏が、近年好む人の割合が減ったかな、と思える、いわゆるダークな「アメリカン・サウンド」で武蔵のイメージを作り上げているという点。バックのオケのトランペット・セクションの音とも違っていて、その効果は倍増!
いつもトランペットソロだけ聞いて、テレビを消すのが習慣でした。以前の大河ドラマ「独眼竜政宗(漢字?)」のソロを彷彿とさせるものがありましたね。ちなみに以前朝ドラのオープニングを同じくトランペットソロで飾ったロシアのセルゲイ・ナカリャコフとは対照的なサウンドですね。
あと、主題からの展開に乏しい曲や最初から最後まで同じ様な感じで終わってしまう曲もあります。ただ、オープニングの曲は改めて(ドラマではN響ですが)ローマ交響楽団が演奏しています。雰囲気の違いを楽しむには良いでしょう。他の曲もローマ交響楽団によるものです。
他にもワーグナーを彷彿とさせる01「メインテーマ」、ブルックナーやマーラーの匂いを感じることのできる、05「希望」、06「哀愁のテーマ」、08「決闘」、09「ミステリアス」…もあれば、いかにも彼らしい、何かが起きるなとわくわくさせる、12「戦乱」、13「予感」等々。もしかしたら彼の過去の作品群の中でも「武蔵」はかなり壮大なものに仕上がっているのではないだろうか。
「武蔵」を見る人も見ない人も、TVでは聞き逃しがちなシンフォニーの広がり、美しさをこのサントラを聞くことで是非発見していただきたいと思う。
またモリコーネは、本作品の作曲にあたって、どこかに「東洋的モチーフを忍ばせた」という。私自身は未だ見つけ出せないでいるが、腕に覚えのある方は探してみてはいかがだろうか。