読みづらい
★★★☆☆
いかにも翻訳調の読みづらい訳です。日本語として不自然な表現も散見されます。そこが「原典に忠実」というところなのでしょうか?
「はしがき」に「キリスト教ないし聖書に必ずしも通じていない人でも、容易に理解・鑑賞できるはずである」とありますが、とても容易とは言いがたく、初めて聖書を読む人にはむしろお薦めできません。
「読み物」としての価値はあきらめ、参考書として扱われるべきものでしょう。
より具体的な翻訳
★★★★★
プロテスタント(無教会)のクリスチャンです。いろいろな問題もありますが、「気づき」を与えてくれる、学ぶこと多い翻訳だと思います。まだまだ若輩者で、聖書学には疎いのですが、素人として気が付いた箇所をいくつか述べてみます。
有名な山上の説教の一節、マタイ5:3には「幸いだ、乞食の心を持つ者たち、天の王国は、その彼らのものであるから。」とあります。今までの聖書では「心の貧しい者」と翻訳されていた箇所が「乞食の心を持つ者」となっています。該当箇所の注釈では「直訳すれば『霊において乞食である者たち』」との説明があります。「心の貧しい者」という何となく上品だけど抽象的だった聖書の言葉が、「乞食の心」という翻訳によって、私の身により具体的に、生々しく、生き生きと迫ってくるようになりました。
一般的に「洗礼」として知られる用語については、「浸礼(しんれい)」と「洗礼」という2種類を文脈によって使い分けているようです。そして両者には「バプテスマ」とルビが振られています。
従来「みこころ」「御心」等とされていた単語を「意思」と書いて「おもい」とふりがなを振っています(ローマ12:2、1テサ4:3他)。品位は多少落ちるかもしれませんが、より大胆に具体的に迫ってくる翻訳だと感じました。
「すべて口に入るものは、腹を通って外に出される(マタイ15:17)」の箇所はよりリアルに「すべて外から口の中に入って来るものは、腹の中に入って行き、便所へと出されてしまう」と訳されています。文語訳聖書でも確か「厠(かわや)」だったと思います。こちらがより原語に近いのでしょうか。
必携書
★★★★★
今後、キリスト教、とくに新約聖書を学ぶものに必携の書。翻訳としてかなりよくできている。注の部分がもう少し欲しいが、買っておいて損はない。現在日本語の翻訳として入手できる中では最高のもののひとつだと思う(田川訳が出ているものは、明らかに田川の方が優れている)。
さして信心深くない者が聖書の再入門にと読んでみました
★★★★★
豊富な注釈が良いと思います。確かに、場所によっては日本語が不自然だったり、括弧書きがうるさかったり、意訳に過ぎると思われるものもあります。ですが、そこここで頒布されているコンサイスな「新約聖書」を、もう少し深く読んでみたいと思う向きには適していると言えましょう。巻末の各種単語の解説は大変に丁寧です。
玉石混交
★★★☆☆
翻訳といい、注といい、できばえがまばらという印象です。特にヨハネは感心しません。共同訳や口語訳ではこうなっていると注をつけても、なぜ、あえてそれを排して、別の訳にしたかの理由が不明なのです。それでも、文章として読めるのならまだいいのですが・・・。