「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」。都内の私立高校に通う在日コリアンである主人公「僕」は、ダンスパーティーでコケティッシュな魅力をもつ「在日ジャパニーズ」の女の子に出会い恋に落ち、そして…。 在日コリアンたちを取り巻く複雑な状況が織り交ぜられているものの、「僕の物語」すなわち本作の根幹は、たわいもない恋愛物語だと判断することもできる。しかし、この物語が、根強く残る差別に対する抵抗の物語でもイデオロギーによって引き裂かれた民族の悲劇の物語でもないところに、著者と著者が代表する「在日」の新たな世代の志向を伺うことができよう。国籍を「在日朝鮮人」から「在日韓国人」に変え、やがて「在日」あるいは「国籍」という枠の外にある広い世界を志向する主人公の思いは、父親がスペイン語でつぶやくこの言葉に象徴されている。「僕は、韓国人でもない、日本人でもない、ただの根無し草だ」。 恋のてんまつはいささか安易すぎる感もあるが、主人公をはじめ、元プロボクサーである父親、主人公と同じくアイデンティティーの揺らぎに悩む朝鮮民族学校時代の同級生たちなど、どの登場人物も、人物造形が確かで生き生きと描き出されている。本作で直木賞受賞作家となった著者は、自らを「在日韓国人」ではなく「コリアン・ジャパニーズ」と称しているが、呼称はどうあれ、「日本の内の他者」として培われたその鋭い視点が彼の創作活動にとって大きな武器となっていることは間違いなさそうだ。
青臭さ
★★☆☆☆
在日韓国人である主人公による葛藤、恋愛、友情…。国と国から個と個へと話が展開されています。疾走感と共に青臭さのある内容となっています。
「いつか、俺が国境線を消してやるよ」
つよくやさしく生きるには。。。
★★★★☆
なかなか小気味良い青春小説でした。
在日韓国人の少年の話しで、世の中の偏見に負けず明るく生きる姿が清々しいと思いました。
GO
★★★★☆
在日朝鮮人のストーリー、日本の中の在日朝鮮人の暮らしについて、悩みや日本の法律への葛藤や日本人との恋愛など色々な事が書かれてる小説!著者は、直木賞を受賞経験がある金城一紀! みんなも是非みてみな読みやすいよ
最低
★☆☆☆☆
歌手や作家の名前ばっかり出てきて自分のことばが少ないからダメ。
軽快なテンポとか読みやすいという理由で評価してる人もいるみたいだけど、
中身が空っぽだから読みやすくてあたりまえ。
ごたくはいいので作品を。それだけ。
個人的には星10個
★★★★★
俺は何人だ。
悲痛の叫びがこんなにも美しく感じられるものなのか。
この本に出会え、そして主人公に出逢えることができ、本当によかった。
筆舌に尽くしがたい煌びやかな鬼。
日本人よりも雅な鬼。
悼みを知る辛酸に満ちた鬼。
悲哀と共に生じる抑えきれない親心に心を掻き乱されて止まない。
主人公を取り巻く主要人物等についても、
比類がない程の魅力を感じた。
国境線なんかおれが消してやるよ。