考古学上の最新の発見や、最近盛んな学際的研究の成果などを手際良く紹介しつつ、旧石器時代以来の人間の営みが地域毎に文化を育て、やがて初期国家へと成長していく様を明らかにしています。
また、今日でも中国各地域の文化特性はたいへん多様性に富んでいますが、本書は、こうした「地方色」の根源は旧石器時代まで遡り、夏・殷以降の中国文明はこうした各地方の特性を集約する形で登場してくることを説き明かそうとしています。
本書は9割がた考古学の本です。この分野に全く土地勘がない小生、正直言って本書を読むのは相当ホネでした。遺跡の名前や土器等の類型など、知らない言葉がたくさん出てきて覚えるのがたいへんです。
しかしながら、これまで何となく無味乾燥に思って敬遠しがちだった考古学が、実はこれほど豊かで想像力を掻き立てるものかと初めて気が付きました。何もむやみに土とか墓とかほじくり返しているだけじゃないんですね。「古代史のロマンを実感」というほどではありませんが、新鮮な気持ちで興味をもって読みました。勉強になりました。