日本の映画興行史上最高の収益（300億円以上）を上げた映画である、宮崎駿の『千と千尋の神隠し（英語タイトル：Spirited Away）』はアニメーションが持つ、ファンタジーの世界を作り上げる力を改めて明示する、目もくらむばかりの見事な映画だ。『オズの魔法使い』のドロシーや、ルイス・キャロルのアリスのように、千尋（声は、『リロ＆スティッチ』のリロ役のデイヴィー・チェイス）は、別の世界に飛び込んでしまう。引越し先の家に向かう途中に、不機嫌な少女、千尋と両親は、つぶれたテーマパークの残骸と思われるものを見つける。両親は腹いっぱいに食べて豚に変身してしまい、千尋は自分たちが、日本の伝統的な神々のための保養地から逃げられなくなってしまったと気づく。妙に親しげなハクという名の少年（ジェーソン・マースデン）が千尋に、油屋を支配する強欲な魔女、湯婆婆（スザンヌ・プレシェット）に仕事をもらうようにと教えてくれる。そこで働きながらも、人に利用されない性格のお陰で、湯婆婆の小さな帝国に浸透している貪欲さに千尋は染まらない。絶え間なく続く幻想的な体験の中で、彼女は人間が引き起こした汚染に苦しむ川の神を清めたり、怪しげな「カオナシ」を救ったり、湯婆婆の双子の姉で優しい銭婆（こちらもプレシェットが演じる）と親しくなったりする。千尋が自身の中に発見した強固な意志と勇気と愛が、ハクを助け、両親を救う力をもたらす。その仕上がりは、現代アニメーションの名匠の1人の円熟した手腕をもって語られる、感動的で魅力的な道程だ。米映画協会（MPAA）は「いくつか恐ろしい場面がある」という理由でPG（保護者の指導が必要）に指定している。（Charles Solomon, Amazon.com）