波乱万丈のドキュメンタリー
★★★★☆
林真理子の「白蓮れんれん」という小説を読んだのがきっかけで、白蓮の生き方に興味を持ちました。大正天皇の従兄妹に当たる柳原燁子は、わずか9歳のときにすでに結婚相手を決められ15歳で結婚し、憎悪の果てに5年後に破婚。その後筑豊の炭鉱王、伊藤伝右衛門と再婚。柳原白蓮の名で歌集「踏絵」を自費出版し、時の人となります。やがて、白蓮の戯曲を芝居にしたいと現れた7歳年下の東京帝大の学生、宮崎竜介と恋に落ち妊娠、新聞紙上に夫への絶縁状を公表すると同時に出奔。しかし、兄に言い含められた白蓮は、兄の家へ戻され1年半の間監禁されます。その間に37歳で竜介との長男を出産。その後尼寺へ身を隠し、4年後に関東大震災のごたごたがきっかけで、やっと竜介と一緒に生活をはじめることができます。その後は、肺病で床に伏す竜介を支え、執筆で生計を立てていきます。不幸な境遇に置かれながらも信念を貫き通す、白蓮の強い生き方には深く感銘を受けます。
本書は、その出奔のどたばたから始まり、遡って燁子の生い立ちから伊藤伝右衛門の生い立ちを含め、時代背景を交えながら白蓮の軌跡を辿っています。著者、永畑道子氏は、地道な取材活動にて白蓮を知る生き証人を探し当て、様々な証言や書物から白蓮の実像を少しずつ浮き彫りしていきます。本書は20年前の発行であり、このときすでに年老いた生き証人たちも今はもはや存在せず、その意味で貴重な書籍です。欲を言えば、もう少し白蓮の歌を多く引用していただくともっとよかったと思います。
波乱万丈のドキュメンタリー
★★★★☆
林真理子の「白蓮れんれん」という小説を読んだのがきっかけで、白蓮の生き方に興味を持ちました。大正天皇の従兄妹に当たる柳原燁子は、わずか9歳のときにすでに結婚相手を決められ15歳で結婚し、憎悪の果てに5年後に破婚。その後筑豊の炭鉱王、伊藤伝右衛門と再婚。柳原白蓮の名で歌集「踏絵」を自費出版し、時の人となります。やがて、白蓮の戯曲を芝居にしたいと現れた7歳年下の東京帝大の学生、宮崎竜介と恋に落ち妊娠、新聞紙上に夫への絶縁状を公表すると同時に出奔。しかし、兄に言い含められた白蓮は、兄の家へ戻され1年半の間監禁されます。その間に37歳で竜介との長男を出産。その後尼寺へ身を隠し、4年後に関東大震災のごたごたがきっかけで、やっと竜介と一緒に生活をはじめることができます。その後は、肺病で床に伏す竜介を支え、執筆で生計を立てていきます。不幸な境遇に置かれながらも信念を貫き通す、白蓮の強い生き方には深く感銘を受けます。
本書は、その出奔のどたばたから始まり、遡って燁子の生い立ちから伊藤伝右衛門の生い立ちを含め、時代背景を交えながら白蓮の軌跡を辿っています。著者、永畑道子氏は、地道な取材活動にて白蓮を知る生き証人を探し当て、様々な証言や書物から白蓮の実像を少しずつ浮き彫りしていきます。本書は20年前の発行であり、このときすでに年老いた生き証人たちも今はもはや存在せず、その意味で貴重な書籍です。欲を言えば、もう少し白蓮の歌を多く引用していただくともっとよかったと思います。