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倦怠 (河出文庫)

価格: ¥842
カテゴリ: 文庫
ブランド: 河出書房新社
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1960年に発表された本著はモラヴィアの代表作で1961年ヴィアレッジ賞を受けた。イタリア60年代を代表する作家だが、映画のシナリオも数多く手がけている。モラヴィアの作家としての新境地を開いたといわれる本作は、戦後の混乱を経てネオキャピタリズムが社会を支配する状況の中で書かれたもので、ドリック・カーンにより映画化され1998年度ルイ・デリュック賞を受賞している。
主人公ディーノは裕福な家庭に育ったアマチュア画家。なぜか社会にうまく順応できない。現実とのつながりを実感できず、虚無感を抱いている。この空しさを「倦怠」とモラヴィアは言っている。あるとき17歳の少女(娼婦と見まがうほど性に対してあっけらかんな自然児)チェチリアと出会うが、彼女の男性遍歴に苛立ち嫉妬するうち、いつしか倦怠感は消え、彼女を現実として受け入れる。現実と自分との接点をチェチリアを媒体として見出す過程がおもしろい。モラヴィアは1990年、83歳で没した。(本吉洋子)
甘くない生活 ★★★★☆
私の好きな雰囲気の小説だけど、いまいちパンチが足りないのは谷崎潤一郎になれているからかも。
イタリアのブルジョワの生活、フランスもイタリアも同じような「アンニュイ」な空気が流れていて、このレベルの金持ちがごろごろいるトリノの街にいたのもあって、なんとなく感覚としては分かる。
イタリア社会の、今のテレビにも続く、若い女の子を無抵抗に崇拝するというものよくある話なので分かる。
でも暗い!
主人公の心理の動きを1ページ1ページ追っていくので、自分まで主人公のようなくらい人間になってしまう。
一番面白い点は、主人公のチェチリアという「モノ」に対する考え方。
ディーノにとってチェチリアは一人の女性ではなく現実に繋がる接点にしかなく、彼女を「退屈なもの」にしようという働きは、正に映画学でいうローラ・マルヴィの世界。
そのストーリーをシンプルにNoia(倦怠)と名づけたセンスはさすが。
毒のある書 ★★★☆☆
倦怠がå...¨ä½"のモチ-フである。主人å...¬ã®ãƒ‡ã‚£ï¼ãƒŽã¯é‡'持ちの子弟で絵ã‚'
趣å'³ã«æ›¸ã„ているだã'で仕事などã-ていない。ときどき母親からé‡'ã‚'せ
びって一人で暮らã-ていた。ã"うã-たç"Ÿæ'»ã‚'ã-ていれば倦怠ã‚'感じるの
はあたりまえである。ã"の倦怠がチェチリアという奇妙な女性の登å 'に
よってディ-ノの中である種の変容ã‚'遂ã'る。

チェチリアは肉ä½"のみにé­...力のあるå°'女であるが、5分前に話ã-たã"と
ã‚'覚えていないなどぼã‚"やりã-た頭脳ã‚'持ち、æ›'にどうã-ようもない浮
æ°-女である。父親が死にかã'ているときに妻子持ちのç"·ã¨é•·æœŸé-"のæ-...行
に行ってã-まうようなè-„æƒ...さも持ち合わせている。

私にはどうã-ても主人å...¬ã®ãƒ‡ã‚£ï¼ãƒŽã«å...±æ„Ÿã‚'覚えるã"ともできないã-、

チェチリアにé­...力も感じるã"とも!ã!!§ããªã„。特にチェチリアは実際に
ã"ã‚"な女性など存在するのかと思えるほどリアリティに乏ã-い。

本書はå‚'作なのかもã-れないが個人的にはどうã-ても好きにはなれない。
ディ-ノはé€"中でスト-カ-みたいになるが、私にはナボコフの「ロリ-
タ」に出てくるç"·ã®ä¸»äººå...¬ã®æ-¹ãŒã‚ˆã£ã½ã©å¥½æ„ŸãŒæŒã¦ã‚‹ã‚ˆã†ãªæ°-がする。

本書はæ¯'のある書といってもよいのではないだろうか。

息詰まる心理劇 ★★★★★
限られた登場人物達が限られた空間で繰り広げる緊迫した心理劇。アッピア街道の豪邸やローマの街中のシーンも出てくるのだが、物語の大部分が主人公のアトリエで展開することや対話の多用もあり、どことなく簡素なむき出しの舞台劇を観るような印象がある。モノクロの古い映画のように徹底して情緒を排したモラヴィアの筆致が、ますますその印象を強める。色彩や情景描写について禁欲的なモラヴィアの筆は、心理分析については偏執狂的なほど饒舌になり、主人公の心理の変化を克明に、残酷に描き出して行く。ストーリーにはまったく無駄がない。倦怠に悩まされるディーノはチェチリアという娘と知り合い、なんとなく愛人となる。チェチリアはプレイボーイで有名だった老画家を死にまで追いやった女なのだが、ディーノには(はじめは)ごく平凡な、つまらない娘に思える。別れようとすら考える。ところが些細なことをきっかけに、ディーノの中に不条理な嫉妬心が芽生える。嫉妬は次第に膨れ上がる。やがて彼は、老画家と同じ破滅の道を辿りながら、どうすることもできない自分に気づく…。ゆっくりと始まるストーリーは、着実に、少しずつ緊張を高めてゆき、ついには狂気にまで昇り詰めていく。車を疾駆させた果ての娼家の暗がりでチェチリアを幻視するクライマックスは凄愴の一語に尽きる。チェチリアは間違いなく文学が産んだファム・ファタルの一頂点である。映画を観たことはないが、チェチリアを演じることのできる女優など果たして存在するのだろうか。この物語を語るモラヴィアの灰色のトーンはまったくこの作者独自のもので、モラヴィアの描くローマは官能的でありながらとてつもなく不毛である。まぎれもない傑作。