世の中では、ねたみ半分で「勉強ばかりすると性格がゆがむ」とか「勉強ができる子は冷たい性格」などと言われがちであるが、本書を読むとそれは全くの間違いである事に気付く。皆、熱い情熱を胸に秘め、受験という最もフェアな戦いに挑んでいる。
驚くべき事に、合格者に共通する事は、そのほとんどが親に感謝の意を持つことである。ドイツにいた時も公文に通わせてくれた事を感謝する者、「好きな事をやれ」と叱咤激励された事を感謝する者、母からエジソンの伝記をプレゼントされた事を感謝する者。「衣食足りて礼節を知る」と言えばそれまでかもしれないが、世の中の予想とは裏腹に、ここには現在の日本が失いつつある理想的な家庭が存在している。
そしてその親達は皆、「親が子供に残せる財産とは、お金や物ではなく教育なのだ」という共通の認識を持っている事にも共感させられると同時に、そこにこそ、現在の日本が失いつつあるものをもう一度取り返す秘密が隠されているのだと痛感させられるのである。