塚本邦雄を読み解く絶好の本
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塚本邦雄の短歌は難解といわれます。その難解さの中に何がひそんでいるのか。著者の坂井修一がひとつひとつ読み解いていきます。時には時代背景をふまえ、時には修辞法の面から。また時には塚本邦雄の作歌活動をたどりながら。社会を見つめ、歌壇を見つめながら構築されてきた塚本短歌に著者がいどみます。また、第3刷の「あとがき」には何人かの歌人から意見が寄せられたことも紹介されています。これを読むと、「塚本的サンボリズム」は印象鮮明ながら様々な読みの可能性のあることも教えてくれます。塚本邦雄入門の絶好の書です。