新約と詩編だけで十分かもしれません
★★★★☆
他の方も書かれていますが、キリスト教そのものに関心があるなら、現代語訳のほうが新しい研究が盛り込まれ、誤訳も正されていることは言うまでもありません。
この他に『旧新約聖書―文語訳』もあります。詩編以外の旧約聖書を必要とするかどうかです。ご存知とは思いますが、旧約聖書はもともとユダヤ教の経典でした。キリストが登場して神と契約を結び直したのが新約で、ユダヤ教の契約を旧約としました。キリストや弟子たちの行動の記録と弟子たちの手紙等が新約聖書です。さらにムハンマドが登場して同じ神のもとにイスラム教が出来ました。そこでキリストは神の言葉を預かる預言者の一人、旧約聖書も聖典です。
なお、以下のページに文語聖書の全文が公開されています。表紙は
http://bible.salterrae.net/
旧約は
http://bible.salterrae.net/meiji/pdf/
新約は
http://bible.salterrae.net/taisho/pdf/
です。
キリスト教徒ではない人に!
★★★★★
はじめにことわっておきますが、私はキリスト教徒ではありません。
しかし、西洋の歴史、文学、音楽、美術などを理解するには、聖書は必読。
ただ、口語訳の聖書は、どうもしっくり来なかった。
たとえば、
塚本虎二訳(岩波)「わたしたちの天のお父様、お名前がきよまりますように。」
新改訳「天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。」
まだしっくりこない。
本書「天にいます我らの父よ、願はくは御名の崇(あが)められん事を。」
おお、これや、これ!!
全く聖書を読んだことがない人でも、
「姦淫をしてはならない」よりも「姦淫するなかれ」
「求めなさい。そうすれば与えられます。」よりも「求めよ、さらば与えられん。」
のほうが、聞いたことあるでしょう。
聖書から文章を引用したい人には、絶対文語訳の方がおすすめです。
やっぱり文語
★★★★☆
個人的には、口語訳なんて注釈以上の価値を持つてゐないと思ふので、安く親しみやすい文庫サイズで文語訳が手に入るのは、うれしいですね。
文語訳に対する評価つて、たぶん誤解されてゐて、本の体裁さへ良ければ買ふ、といふ人、結構ゐると思ひます。何しろこれより外には、旧約とセットの、いかにも大部な5,000円の一刊本しか選択肢がないのでは、一寸興味があるぐらゐでは、さすがに手が出せないでせう。自分もさうですし、知り合ひにもさういふやつはゐます。
そんなこんなで、自分は旧約のはうも文庫サイズであればいいのに、などと思ふ次第であります。
古い、でも魅力はある
★★★☆☆
私は完全な戦後世代であって、初めて手にした聖書も病気で若くして天に召された叔母の遺品の口語訳である。従って、一部に根強い文語訳支持者とは異なる。実際、この訳が出てからの聖書研究の発展は目覚しいし、これから聖書を読もうという人には薦められない。また、この文語訳の一番の特徴はさる聖書学者の言葉を借りるなら「日本語としての名調子」にあり、実際そうだと私も思う。しかし、新約の原文は著者(おそらく20人近い)によって非常にバラエティに富んでおり、この訳のような名調子の文を書いたのはいたとしても比較的少数だろう。そういうことを知りつつ、いくつかの部分ではやはり文語訳の魅力を捨てることができない。あまりに陳腐な例だが、第一コリントの「愛の賛歌」などはその代表例。くどいようだが、勉強には新しい訳を使うべきだ。その上で、限界を知った上で文語訳(正確には「大正改訳」)を読むのは意味があると思う。なお、同じ文語訳でも旧約は明治訳のままで、とても読める代物とは言いかねる。従って、新約部分だけを安価で入手できるようになった本書の出版を歓迎している。