『血涙−新楊家将−』(上/下)
★★★★☆
この作品を読み終えたことで、前作の『楊家将』や北方『水滸伝』の真の面白さを知りました。
北方『楊家将』にも『水滸伝』同様に独自の展開が施されており、登場人物や歴史背景を考えると大胆に感じられますが、いずれも登場人物の峻烈さや運命が心地よく込められており、中国史小説の1つの真髄を目の当たりにできたといえる作品だと思います。
フィクション性は増しています
★★★★☆
前作の楊家将も史実(楊家将演技では無いです)との違いに戸惑いながら読んでいましたが、今回は更に史実からは離れてしまっています。歴史小説という見方をすれば曲げて欲しくなかった部分もあるので、そこが少し残念。
しかし一時代小説と思って読めば魅力的な作品です。
「楊家将」が動きの激しい“動”だとすれば「血涙」は“静”
楊六郎(と七朗)と石幻果(と耶律休哥)のそれぞれの想い・葛藤などを深く掘り下げて描いている作品だと思います。
“乱世に終わりが訪れる時、戦うために生きてきた者達の運命は!滅びゆく者達の叫びが戦場に砕け散る!!”
最後の最後、宿命とも言えるべき決戦を行う楊家軍と耶律休哥軍、その勝敗の行方は?
戦う事を宿命付けられた者達の葛藤。
なぜ戦う事になってしまったのか?
という、どうにもやるせない想い。
そういったものが滲み出ている作品です。
歴史小説好きなら、前作の「楊家将」と一緒に読んでみると良い作品だと思います。
書かれるべくして書かれた「楊家将」の完結編
★★★★☆
宋王朝建国前後に活躍した軍閥・楊一族の闘いを描き、第38回吉川英治文学賞に輝いた『楊家将』の続編。但し中国の原典にはない、北方謙三オリジナルの物語である。
名作と言われるものの続編にはがっかりさせられるケースが多いが、本書の場合には当てはまらない。気が付けば、七百頁近い大作を正味二日間で一気に読み終えていた。前作の流れを自然に受け継いだ無理のない舞台設定、ストーリー運びのテンポの良さ、つい感情移入してしまう個々の人物造形、無駄がなくかつ必然性のあるセリフ回し等、書かれるべくして書かれた感のある“完結編”である。登場人物が絞られた分、一人ひとりが丹念に描き込まれており、個人的には前作よりも面白く読めた様な気もする。
楊家将の続編
★★★★☆
「楊家将」を読み終えて、すぐ本書を読み始めました。
前作「楊家将」での最後の戦から数年が経過。
楊家はほぼイチから立て直しを図る中、
遼は新たな将軍が育ちつつあり、戦力は強化しています。
全体的に戦いは少なく、淡々と話が進んでいきますが、
新生「楊家」と遼の激突辺りからようやく話が盛り上がってきます。
この後、どうなっていくのか?期待を含んだ内容で、
下巻が楽しみです。
楊家荘の続編
★★★★☆
登場人物が少ないせいか、楊家荘よりは盛り上がりにかける
文官と武官の差を現代に置き換えると=担当と課長の差
気に入った言葉
会議ではありきたりのことしか出てない・戦場(現場)では臨機応変が求められる
楊家荘を読んだら、読んでおく本